【ワタリの雑談】携帯の独り旅。いなくなってわかること

20190712(金)

この日は京都精華大学でワークショップ。

朝5時に起床。

マツリワタリ後、美しいほどに見事な風邪をひいた。

病院でもらった薬が効いたのか、昨日よりも体調がいい。

ありがたい。

最近はだいたいにおいて、咳がしつこくなったりして、肺がしんどい感じになって長引くからこの短さで良くなってくれるのはいい。

東京駅について、改札を入って、待合室にあるコンビニでサンドイッチとコーヒー。

これがなんだか定番になってきている。

隣でおじさんが弁当とビール。

このくだりがメルマガになった。

そして新幹線で寝る。

電車で寝るときは、アプリでバイブレーションしか起動しない目覚ましを使う。

ポケットにいれる。

震える。

起きる。

しかしまだ眠い。携帯を手にもったまま寝て、京都につく。

新幹線が止まるタイミングで、出口に移動。

その時

ゴトン!

後ろから何かが落ちた音がした。

振り返ると、スーツ姿のおじさんが、ガラガラを下におろして柄を引っ張っていた。

なんだか距離も近くて威圧感があったからあんまり見ないようにした。

ドアがあく。

京都駅に降りた。

すぐ近くに下に降りる階段があった。ラッキーだ。

階段を数段降りて違和感。

パッとジーンズに手を当てる。

携帯が・・ない!

前も後ろも、、ない!!

さっと階段を駆け上がる。

新幹線はまだ停車している。

ワタリが出たドアはまだ開いている。

新幹線は最後の乗客をいれている。

間違いなくもうすぐ閉まる。

何を思ったかワタリは自分の乗っていた車両をさっと窓からのぞいた。

誰かがワタリの携帯に気づいて騒いでやしないか?と人の良い期待をしたようだ。

誰も何も動いていなかった。

次に近くにいる駅員さんがいた。

手をあげた。

気づかれなかった。

まだドアは開いていた。

どうする?どうする?

入ったらほぼ100の可能性でドアが閉まる。

そして新大阪にいってしまう。

新大阪行ってすぐ戻ってくれば20分くらいで帰ってこれるのでは?

という考えはその瞬間にはなかった。

新幹線のドアはしまった。

すぐに駅員にかけよって話す。

「ここじゃなにもできないから下に話ししてくれ」っていわれる。

下にいく。

「ここじゃ何もできないから下に話ししてくれ」って言われる。

もう速攻でたらいまわし。

さらに下に。

「忘れもの預かり所」みたいなところがあった。

おじさん事情を説明する。

おじさんが「まずいな・・まずい」とかなり小さい声でしかし、何回もいう。

さすがに気になって

「なにが?まずんいんですか?」

と、聞く。

「もう新大阪についちゃうんだ。で、あなかの乗っていた車両の近くに駅員がいないんだよ」

なんて言われる。

しらんがな・・・。

いや、きっと、おじさんのほうが「おめーの携帯なんて知らんがな」だわな。

名前と大学の連絡先を伝える。

「もし見つかったらどうすれば?」ときくと

「まず見つかったらね」と言われる。

大学に向かう。

いつもよりも遅れての到着。

ワタリを呼んでくれている先生が「ハラハラした」という時間帯。

授業の20分前に到着。

新大阪に取りに行っていたら・・間に合っていなかったように思う。

だから、良かったのだ。

最初の授業が終わって、事務の人が連絡をくれた。

我が携帯は博多駅まで旅をしたことが分かった。

13:30以降に博多駅に電話をくれとあったので、次の授業が終わったらかけることに。

大学の携帯をかりる。

博多の忘れ物預かり所の人と話す。

選択肢は

「博多まで取りに行くか」「送るか?」

とのこと。

「取りに行きたいんだけど、交通費はかかりますか?」ときくと

「こちらとしてはなにもいえないから、駅で聞いて」

このたわい回し作戦は本当にすごい。

結局、ワタリが今日泊まるホテル側が良かったらホテルに配送するということに。

しかし15時に集荷になります。現在14時50分!

いそいでホテルに電話。

想像よりも快くOKしてくれた。

また博多へ。では着払いで送るということに。

「午前指定で、一応希望は出しまず、でもあくまで希望なので。ふふふ」

となぜか笑っていた。

電話を切って、ひとまず落ち着く。

落ち着いて携帯に思いを馳せる。

おもえば、新幹線が京都駅について、席をたちあがる時、なぜか斜め前の人が使っている携帯を見ながら、

「今度はもっと大きな液晶にしよう」

なんて考えていた。

我がスマホはそれを感じたのだろうか?

「あたしのことをないがしろにしてる」

「こないだツアーの時に落として背面にヒビが入ってから態度が冷たくなった」

そんなことを思ったのかもしれない。

「思い知らせてやる!」

ってことで、ワタリの手が緩んだ瞬間にダイブ。

新幹線の座席の下へスライド。

家出で博多まで。

見事に思い知らされている。

スマホがないと一気に原始人。

なにをするにも、携帯で調べていたりしている自分を知る。

大学では先生のiMacからfacebookにログインして皆とやりとりした。

ネットの凄さと、ネットやスマホがない世界の素晴らしさを体感。

授業も連絡も終わり、ワタリは開き直る。

せっかくだからアナログを楽しもう。

その後、ホテルまでの旅を楽しむことに。

本屋に行って本を吟味したり、どこかでご飯食べようか?なんて考えてお店を見てまったり。

その間、誰にも繋がっていない。

繋がりたかったら、今目の前に見えている人に話しかけるくらいしか繋がれない。

それを贅沢だなぁと感じた。

電車の中では買った本を読んだ。

そして、携帯は次の日の午前中に旅から帰ってきました。

「大変でしたね」

配達のおじさんが言ったセリフは、ワタリになのか、携帯になのか。

博多駅から送られた携帯は、とっても大事そうに梱包されていた。

携帯は、新幹線の座席にスライドしてから、きっといろんな人の手に渡って、不安もあったに違いない。

いつもと違う人にいろいろ触られて、ボタンを押されて

怖い思いをしたのかもしれない。

でも、博多からの手厚い梱包具合をみて、

きっと良い出会いがあったに違いないと、そう思った。

「ふふふ」と笑ったあの女性は、嫌味を言う人でなく、とっても優しい人だったのかもしれない。

それも全部携帯だけが知っている。

戻ってきた携帯は液晶が大きくなったり、性能が良くなったりはしていないけど、

一回りたくましくなったような、そしてワタリとの距離ももっといい感じになった気がした。

その距離っていうのは、近いっていうことでなく、

必要な時と、そうでないときがある。

そうでないときにもただ触っているから有り難みがなくなる。

惰性になってたな。俺たち。いや、俺。

いなくなってわかることがあるもんだ。

Photo by Bahman Adlou on Unsplash


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