【ロクディム企画】所持金0。パフォーマンスだけで日光(栃木)から浅草(東京)に帰ってこれるのか?即興遊戯者ワタリの三線旅〜前篇〜

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こんにちは。

即興遊戯者・ワタリです。(@watari_bouya)

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前回のブログで発表したロクディム企画「三線一本。所持金0。日光から浅草へ帰ってこれるのか?」やってきました。

旅の全貌と、感想を綴りたいと思います。

まずは前日の呟きから

そう、公に発表したのが当日の夜中。

ギリギリまで「え?本当に?やるの?良いんだよやらなくて?」くらいの感覚だったんです。

何の準備もできてなかったのです。

恐怖に打ち震えるどころか、全力で目を逸らしていたんです。見ようとしても片目、しかも半目でしか見れなかったんです。

でも、心のどこかでやらないとこれ絶対いかんよ。なんて思いがあったのです。

で、ギリギリになりやるぞ!と覚悟し、夜中にブログアップしてから旅の支度を始めました。

とにかく何日いるか分からないし、雨に打たれるかもしれないし、寒い中、野宿することになるかもしれないしってことで、Tシャツ多めとパーカーと下着をカバンの中にいれました。

そして、三線を弾きながら(弾けないけど)移動することを考えて、「どうやったら三線のケースをカバンの中に入れられるだろうか??」なんてことに四苦八苦し寝たのが朝の4時くらい。

朝イチで出ようと考えていたプランはこの段階で木っ端微塵。

お昼前に移動を開始。

日光に向かうワタリ。

日光に近づくにつれて、つのる不安。それと同時に「どうあったって素敵な出逢いがあるに決まっている」という根拠のない自信のような期待もつのっていきました。

そして「東武日光駅」到着。

その時の意気込みがこちらです。

まだ明るいし人もいる。

ちなみに駅前で売っていたこれらだけは購入させてもらいました。

ここから旅が始まる。ワクワクしながら三線だして準備してたら、

隣に座ってた外国人カップルと友達になるというミラクルまで。

幸先が良すぎる展開。

これはもしや、、すぐに帰れるのでは??

と思ったワタリがどれだけ浅はかだったのでしょう。

目次

観光地の撤収は想像以上に早い。

外国人カップルと笑顔で別れ、支度を完成させ、いざ!と周りをみると、さっきよりも人が少ない。。はやくも焦りがでてきます。

駅前をウロウロする。時々観光客が駅に来る。でも、もうその人達は観光を楽しんだ後で、じゃっかん疲れた顔をして、後は帰るという目的をもって駅に入っていきます。

その流れをどうにも止められない。

音楽ライブみたいに、「人が集まってなかろうがまずは演奏して歩いてる人にお知らせする」という手法は、三線が弾けないワタリには至難の業。

ワタリの考えたやり方は、「三線をもっているワタリに興味をもっている人に話しかけにいって、その人に言葉を書いてもらいそれをもとに即興で噺を作る」というやり方。

なので、基本休んでいたり座っていたりする人がターゲットだったりします。

が、なかなか人がいない。座っている人たちは駅の構内がほとんど。そこにいってパフォーマンスしたら速攻で駅員さんが来るのは目に見えている。かといってここにいても流れを止められない。

悩んでいると駅前のバス停からおばさま集団が降りてきてワタリに気づき

おばさま「あら?三味線??」
ワタリ「そうなんですよ〜」
おばさま「何してるの〜?」
ワタリ「さっきここに来まして、パフォーマンスをしようとおもって」
おばさま「今日は泊まるの?」
ワタリ「いえ、泊まるところもないし、お金もないんですよ〜」

そう言うと、おばさまの歩くスピードが3倍くらい(ワタリの体感)になり、いなくなる。

王手。

急に頭に「王手」が浮かびました。え?こんなに早く??

どこか人が集まっているところ。目的なく座っているところ。。公園だ!ってことで、駅前にある地図を見ると、20分ほど歩いたところに大きな公園があることが分かりました。

そこに人がいるのだろうか?

いたら大チャンス。いなかったら。。

空に大きな雲が現れました。予報は夕方から雨。まもなく夕方。

決断せねばいけません。

ただ、少しでも情報が欲しい!

意を決して駅に止まっているタクシーの運ちゃんに話しかけます。

ワタリ「あの。。すいません」
運ちゃん「あんた、さっきから何してるの?」
ワタリ「あ、えと、パフォーマンスをしにきてまして」
運ちゃん「駅員に見つかったらすぐ止められるよ」
ワタリ「そうですよね〜。あ、で、ここらへんって人が集まるところってないですかね?」
運ちゃん「もう夕方になったら誰もいなくなるよ」
ワタリ「あ、え?そうですか〜。あ、あと近くに公園があるじゃないですか?あそこって人は?」
運ちゃん「公園。。。?いないんじゃないか〜?」
ワタリ「ああ、そうですか〜」
運ちゃん「ま、頑張って」

この不安感。

ここにいてもダメ。

公園にいってもダメ。

え?選択肢、、なし??

ドラクエだったらメガンテ(自爆呪文)かパルプンテ(何が起こるかわからない呪文)を唱えたい心境。

でも、ワタリは魔法使いじゃない。

弾けない三線をもち、即興で噺を作るというとんでもなく伝わり辛い表現で生きようとしている男。あるのは、無謀に近い勇気だけ。あ、つまり勇者。

さぁ、どうする?勇者ワタリ。

なかなか決めきれず迷いながらまたウロウロ。外国人は興味をもつ。でも、最初の時のように話しかけにいけない。行けたとしてもそこから英語で?英語で即興して、今の状況を説明してお金をもらう??いやいやいや〜。

もっていた勇気すらなくなってきていました。

そこで駅前に設置してある喫煙所で座っている初老のおじさま達2人を発見。

ある種、外国人よりもハードルが高い。でも日本語は通じる。ええいままよ!

ワタリ「こんにちは」
おじさん1「あんた何やってんだい?」
ワタリ「あ、僕ですね、噺家でして、それも即興で噺を作るってのを生業としてるんですね」
おじさん1「へー」
おじさん2「今日泊まるところ決まってるんかい?」
ワタリ「あ、それが全然。泊まるところどころか、お金もまったく持っていない状況でして」
おじさん1「へー」
ワタリ「で、今日日光に来まして、自分の表現で稼いだお金で東京に帰れるか?って企画をしてるんです。ただ人がいなくて〜」
おじさん2「もういなくなるんだよ。ここらへんは。ダメだよもっと早く来ないと」
ワタリ「そうなんですよね〜。で、あ、ここでどうでしょう?一席設けても〜」

おじさん2「(苦い顔して、手を顔の前でヒラヒラさせながら)いやいやいや」

ワタリ「あ、そうですか〜今日はもうお帰りで?」
おじさん2「そう」
ワタリ「どちらに帰られるんですか?」
おじさん2「浅草」

なんということでしょう。

なんという皮肉でしょう。

単独ライブをやる浅草に帰る企画で、浅草の人に断られる皮肉。

浅草の人だから、芸が身近にあるから、より断る率が高いのかもしれませんが。

そこから少しだけ会話をし、退席。

もう、これは行くしかねえ。公園に行くしかねえ。

そう腹をくくった動画がこちらです。

天竺に向かう気持ちで公園へ。

調べると公園まで徒歩20分。そしてその奥にはキャンプ場がありました。

人、、いるでしょう〜!

なんて希望をもち、駅を離れ歩き始めます。すぐに川沿いの道となり、そこをひたすら歩きます。

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歩きます。。。。

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最初に買った水をカバンの横に引っ掛けているのですが、それが歩くたびにバシンバシンと体に当って、暑いわ重いわ邪魔だわそして人がいないわ。車が通るたびにめっちゃ見られるけどそれももう嫌だわ。

という劣悪な精神状況の中。

天竺、公園にたどり着きました。

人はいない。

人の上に人を作るとかって言葉があるけど。

そもそも人がいない。

つまり上も下もない。無。この世は無である。

ワタリ、悟りました。

奇跡の出逢い

悟ったワタリ。でも悟りがゴールじゃありません。
誰かと出逢い、噺をし、お金をもらわないと帰れません。

このまま隣の駅にいくか??そうおもって、マップを見ましたが、かなり遠く、そして日光の駅より人がいるとは到底思えない。

ということで、「東武日光駅」に戻ることにしました。

が、駅の近くに「日光駅」があることがわかったので、まずそこに行くことに。

15分くらい歩き、辿り着いた「日光駅」。うん。人いないね!ふふ!

仕方ないので再び「東武日光駅」へ。

途中、大きいホテルがあり、そこの1階でパーティをやっているのが見えました。

ガラスの向こうでは大勢の大人たちがお酒を飲んで盛り上がっています。

。。。飛び込みパフォーマンスか。。。!!!

なんて発想が浮かびましたが、即ホテルの人に止められる映像も浮かんで留まります。

この人達がパーティ終わってホテル出てきたら、いけるかも??でもいつ終わるのか?そこまでここで待ってても時間が過ぎていくだけだし。。。

まともな判断ができなくなってきます。

東武日光駅のそばでバス停があり、そこからちょうど下校中の女子高生が降りてきました。

ワタリ「こんにちは〜お帰りですか?」
女子高生「ああ、はい(歩くスピード3倍速)」

うんうん。分かるよ。歩くスピード3倍。なるよね。

ここにいてもダメだ。。フラフラと歩いていくと小さな公園がありました。

ベンチに小太りのおじさんが座っていました。

「違う。この人じゃない」

何がどう違うのか分かりませんが、とうとう「ワタリの勘」が言い始めました。
でもそれが感覚として時間をロスするだけだからやめとけ!という前向きな声なのか、ただただ勇気をなくした声なのかが分かりません。

またフラフラ歩きます。その間、三線で音を出し続けています。

住宅地にはいって、庭で掃除しているおばさまを発見。三線を弾きます。おばさま、こっちを見ます。

ワタリ「こんにちは」
おばさん「こんにちは」

おばさんの険しい顔。

「違うよ。この人じゃない。また歩こう」

ワタリの声が聞こえます。

暑さで汗がダラダラ。どこかで休みたい。でも休んでも。。

なんて思いながらフラフラ歩いていると、大きめのスーパーが見えました。

食料品店。もう暗くなりかけている世界に、そのスーパーの明かりはワタリにとって有難い存在。

自然と足がスーパーに向かいます。

スーパーの中は涼しく、ワタリは少し息を吹き返します。

ただ、お金はございません。

一周して、また外に出ました。

スーパー前にあるベンチにおじさんが座っています。

三線に興味をもっているようでチラチラ見てます。

「違う。この人じゃない」

だよね。そうだよね〜。でもどうする?

王手。行き止まり。

そんな状況の中、いまいちど、ワタリは思いました。

「おかしいよ。だって、どうあったって素敵な誰かに出逢うって決まってるはずなんだから」

と。おかしいじゃないか?!と。誰に怒っているのか分かりませんが、そう思い、改めて落ち着きを取り戻そうと呼吸をしました。

ただもうどこにも行く元気がなくなりスーパーの前に立って、三線の音を出していた

その時

1台の車がスーパーに入ってきて、駐車場に止まり、おばさま3人が出てきました。

スーパーの出入り口にいたワタリを凝視するおばさま達。

ワタリ「こんにちは」

自然と声がでるワタリ。

おばさま1・2・3「こんにちは〜」

挨拶しても3倍速にならず、逆に歩みが遅くなる3人。

意識するよりも早くワタリの口が開いてました。

ワタリ「あ、すいません」
おばさま1「はい」
ワタリ「ここらへんでお寺ってありませんか?」
おばさま1「お寺?」
ワタリ「実はカクカクシカジカで、お寺に泊めてもらおうと思いまして。。」

おばさま達はそれぞれ顔を見合わせます。

おばさま1「じゃあ、家に泊まりますか?」

どんなに素晴らしい人がいう名言よりも

どんなに優れた魔法使いが唱える呪文よりも

このおばさまが発した言葉ほどワタリの心を震わせたものはないでしょう。

ワタリ「え??え!!!!??」

おばさま1「ソファとかになっちゃうかもだけど」
ワタリ「いえいえいえい、まったく全然大丈夫です!!」
おばさま2「じゃあ、そこで一席設けてもらえれば良いじゃない」
おばさま3「あら、いいわね。三線も好きだし、良いじゃない」
ワタリ「本当ですか??本当ですか!!」
おばさま1「じゃあ、買い出ししてくるから待っててちょうだいね」

夢??

突然の出来事に、現実感があまりになく、なんか変なこと言ったり動いたりしたら全部なくなっちゃう気がしてしばらく同じ姿勢で立ってました。

そして、ようやく「これは現実なんだ」と理解した時の動画がこちらです。

 

最後に

おばさま3人と逢った時、うちなる声が「この人だよ!」なんて言ったかは分かりません。
ただ、感覚としてもう自然と話しかけていてあっという間に「家に泊まりますか?」となったこの時間はまさしく奇跡でした。灰色だった世界がカラフルになるほど、見える景色が一変しました。

ここから、怒涛の奇跡が始まります。

後編をご期待くださいませ!

ほなー。

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