インプロ(即興劇)の世界では、「相手の提案にYESと言うこと」「まずは受け入れてみること」を大切にして、それを練習していきます。
普段、自分を守るためにネガティブな状態になっているのが人間の本能らしいのですか、そんな人間にとって、この「YES」の練習は、自分の殻を破り、可能性を大きく広げてくれるすんばらしいトレーニングです。
でもね、
「YES」と同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上に大切かもしれないこと。
それは、「自分自身にYESと言うこと」です。
自分とは全く違う価値観を持つ他者からの提案。
時には、「ぬぅ・・それはなかなかに・・乗れぬ!・・」と感じる瞬間も訪れます。
その「乗れない」という感覚。
もちろん、それを乗り越えて相手の提案に「YES」してみることで、自分の器が広がるチャンスもあります。それはインプロの醍醐味の一つですし、トレーニングしていきものです。
しかし同時に、その「乗れない」という感覚は、「私にとって、これは譲れないほど大切ななにか」という、自分自身の核(コア)に気づくための、非常に重要なサインでもあるのです。
インプロは、「何でもかんでもYESと言いなさい」と教えているわけではありません。
大切なのは、自分を犠牲にしないこと。
でも、この「犠牲にしているかどうか」を見極めるのが、本当に難しい。
まるで、ただの筋肉痛だと思っていた痛みが、実は深刻な肉離れだった、というように。
心の痛みや違和感は、気づかないうちに深く進行してしまうことがあります。
じゃあ、どうすれば「受け入れるべきYES」と「自分を守るべきNO」を見極められるようになるのか?
近道はございません。答えは、たくさん葛藤し、その経験値を積んでいくことだと、ワタリは思います。
「これは受け入れた方が、結果的に面白く成長できるチャンスだ」
「これは、今無理してYESと言ったら、後で深刻なダメージが来るやつだ」
その境界線は、何度も迷い、時には失敗し、自分の心と正直に向き合う中で、少しずつ見えてくるものです。
「受け入れるのは大変だけど、相手のために頑張らなくちゃ…」と自分に鞭打ってしまうと、後で必ず心が「ずーん…」と重くなります。
そして、面白いことに、自分自身が表現者として、あるいは一人の人間として繊細に、深くなっていくほど、昔は平気だったことが、平気じゃなくなってくることもあります。
コミュニケーションにおいても言葉1つとっても味わえる感覚が敏感になっているもんだから、昔は気づかなかったけど、案外苦みがあるんだね!とか、こんなに甘いんだね!なんて感じることがたくさん出てきます。
解像度があがればあがるほど、見える世界が変わる。
その分、影響を受けやすくなります。
それは決して「弱くなった」ということじゃないんです。
より深く、細やかに、自分の心の声を聞けるようになった証拠なんです。
その声に耳を澄ますことで、「自分の人生で、本当に大切にしたいものは何か?」を知っていきます。
これは「何が良い/悪い」という話じゃないんです。
ただ、自分自身が、何を価値あるものと感じ、何を指針として生きていきたいのかを知る、ということです。
人生において、人との関わりにおいて、何を育んでいきたいのか。それを明確にしていくことが、何よりも大切なのかもしれません。
渡猛にとっては、「愛と勇気と遊び心」、そして他者に対しては「友愛と敬意」が、絶対に欠かせないものです。ここでの「敬意」とは、「偉いから敬え」ということではなく、「あなたと一緒にいられて嬉しい」とお互いに心から思い、それを伝え合える関係性のことです。ワタリは、そういう価値観を共有できる人たちと、一緒に生きていきたい。
人生には必ず終わりが来ます。だからこそ、自分が何を大切にしているかを知り、それに正直に生きること、そして、同じ方向を向ける人たちと時間を共有することが、豊かな人生に繋がるのだと信じています。
だからね、心からオススメしたいことはね。
恐れずに色々な価値観に触れてみてください。たくさん「YES」も「NO」も経験して、たくさん失敗してみてください。周りの価値観や「こうあるべき」という声に流されて途端に自分の人生の舵を取れなくなることもあるでしょう。その経験も良し、なんです。
それら全てが、この世界で「自分はどう遊びたいのか?」を知るための、かけがえのない、素晴らしい経験になるはずですから。
なので、「たくさん触れること、失敗すること」そして「自分の声を聞く時間をつくること」が大事と思います。
それができるのが渡猛のワークショップです。
ワークショップにいくのはまだ怖い!人は、
未知な世界に飛び込んで失敗も楽しんでる人間を観にきてください。
それが見えるのが渡猛の「ヒトリワタリ」であり「マツリライブ」です。
今回も着地が美しすぎる宣伝でおわり。
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