人にも自分にも貼ってる「レッテル」について考える

今日は大学の授業であった話をば。
大学では「コミュニケーション実践演習」という授業を担当しております。
ほとんどが演劇もインプロもいっさい知らない生徒たち。
この授業を選択する多くは「コミュニケーションする力をつけたい」という想いで参加していて、授業の最後は「90秒間の自己PR」をやっておわる。

先日の大学の授業での出来事。

いろいろなワークをやったあとに1人1人感想を聞いていく。
そこで1人の女性生徒の話の中で「喋りが苦手」というワードが出てきた。
そこに違和感があり「なぜ苦手と思ってるの?」と突っ込んで聞いてみた。
彼女は「誰かに質問されたときの返事が的を得ていないのと、あと、人と会話するときのパターンがずっと喋るかずっと黙るかないから」と答えてくれた。

皆はどう思いますか?

ワタリは「まず、相手からの質問の答えがズレていることがわかっているのがすごい。あと自分の、人とのコミュニケーションのパターンも把握しているわけでしょ?テニスだとするとラケットをボールに当てることができるだげじゃなくて、コートから外れていることがわかっているわけやんね?じゃああとはどうやってコート内にいれていくか?それをとにかくやっていくだけでいいわけだから」
という話をうんうんと頷きながら聞いていた彼女は両手をあげて「やったー!」とお茶目に答えた。

レッテルは人だけでなく自分に対しても貼っている。

彼女の「会話が苦手」という自分にたいするレッテル。だいたいは最初親から貼られているとおもう。「どんくさい」「情けない」「遅い」「下手」こんなライトなものでもしっかりと自分の中にのこる。いい言葉よりも悪い言葉のほうが残りやすいのは、自分にとって危険なことほどしっかりインプットしないと命が危ないという本能がそうさせているのかもしれない。
だから本人が忘れていてもしっかりと身体に残っていていつの間にか「私はそういう人」というイメージが出来上がってしまう。
無意識にしっかりと刻まれるから、催眠状態になっていることに気づかない。それがもともとの自分のスペックだと思っている。自分が悪いんだという感じで。
彼女の場合は「喋るが苦手」というレッテルを貼っていた。
あ、このレッテルをはること自体が悪か?というとそういうわけではなく。
ただ、そのレッテルによって本来なりたい自分の足かせになっていることがある。そういう類のレッテルは良ろしくない。
またその言葉によって思考停止状態になる。
「苦手だから」で終わり、そこから学びの種を見つけることは難しくなる。
そうすることでそれ以上は掘り下がらず自分の考えていることがずっとわからない。自分の考えていることがわからないってことは自分が生きたい人生がわからないってことになる。それはもったいないなぁとワタリはおもう。

だからやっぱりワタリは今回みたいに突っ込んでいく。聞いて彼女なりに語ってもらい、それが「苦手というレッテルだった」ことに気づていく。そのプロセス自体が楽しいし、気づいたとたんに催眠がとけることがある。人によってはパーン!と変わるし、人によっては薄皮一枚剥がれた感じになる。
ワーク自体やワタリとの対話の中で参加者と一緒に掘り下げていく。
それがワタリが大学でやっていること。

今回のことは先生側の視点でも言葉にしておくと良いかもしれないと思ったので書いてみる

これは「苦手」という生徒にたいしてマニュアル的に突っ込んで褒めるというものではない。
彼女の「苦手」という話(それと音の響き)に違和感を感じたワタリがいたから突っ込んでみることができた。
そこから出てきた彼女の理由を聞いたから「なぜそれが勘違いなのか?」を伝えることができた。
その結果、彼女が「やったー!」となった。
指導する側は生徒それぞれが発している言葉や仕草や姿勢や呼吸の中から「違和感」をキャッチできるようにならなかったら対応できない。
最初から答えを用意していたり「こうすべき」なんて自分の正解をもっていたらその1つ1つの言葉にたいして反応ができない。
生徒ひとりひとりに向き合って、レッテルをはらずに正見と傾聴と関係の中で一緒に考えていく。自分の好みや正義で物事をみていたらできない。そういう意味で先生は「正見」や「傾聴」を当たり前にトレーニングしていないといかん。
だからこの授業が必要なのは「コミュニケーションに悩む生徒」だけじゃない。
教員も、いや教員こそ即興やったらいいのにっておもう。

正見と傾聴と関係の連続だから。

photo by 矢野直美

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