下北沢駅ホームで、藤井風が消えた。「うそやろ!」から始まった、スマホ捜索24時間の全記録

12月6日。
都内で開催するロクディム今年最後のライブ。
しかも午前中はワークショップも開催する。
朝起きて、習慣の瞑想もそこそこに支度。
集合は10時であるが、ワタリは午前の用事があるため少し遅れることを伝えてある。
ワークショップ受付時間は10:30。
それには間に合うように家をでる。
快晴。ワークショップやライブ日和だ。
しかし、この後すぐに地獄に叩き落されることをこのときのワタリは知らない。

小田急線登戸駅で快速急行に乗り換えた。
土曜日なのに、人が結構いる。
カバンを前に移し替える。
しかし、ワタリの胸の前にはいつもmont-bellのポーチがある。
だからカバンを前にするとき邪魔になる。
本当はしっかりと両肩にカバンをかけるのだけど、
人が多くて片方の肩にひっかけるような形になった。
ちょいとしんどいけど、まだ耐えられる。
快速急行が次に停車する駅は下北沢駅。10分ほどノンストップで走る。

肩のしんどさに意識を向けないためか?
ワークショップとライブがあるから少し気持ち盛り上げていこうなんて考えただろうか?

もはやわからない。ただワタリはワイヤードイヤホンを出してスマホに繋いだ。
ワイヤレスイヤホンも持っているけど、最近は電磁波のことが気になってもっぱらワイヤード。
耳から藤井風が流れ出した。
窓際で朝日に照らされるおじさんを見ながら聞く「帰ろう」はとても切ない。切なくて良い。

下北沢駅につく。人がたくさん降りる駅だからワタリもいったん降りる。
再び乗り込むときに、片方にしかかかってないカバンがやはりしんどいから両肩にかかるようにしようとカバンをグインともう片方の肩に届くように動かした。

その刹那。
藤井風が消えた。
いや、ちがう。消えたのは風でなくスマホだ。
カバンを動かしたことにより、ケーブルが引っ張られ、内ボケっとにあるスマホが飛び出した。
水泳選手だったらば、とても綺麗な飛び込みだったろう。
とても美しく、接続されているイヤホンケーブルはいとも簡単に抜けて
我がスマホはホームと電車の間の溝に消えた。

「え!?」

乗り込もうとした人間が止まった異変に気付いたのか、それとも闇に飛び込んだスマホをみていたのか、隣で電車に乗り込もうした人が「あれ?いま、、、」って感じでワタリのほうを見てるような視線を感じつつ
ワタリはハッキリと大きめの声で

「うそやろ!」

と、なぜか関西弁で言った。素が出た。

電車に乗らないと間に合わない。でももうこの電車に乗ってはいけない。
もっといえばこの電車を動かしたくない。
いま溝の向こうにいるあの子はどんな体勢で?
線路の上ならば、終わりだ。

でも電車を止めるすべがない。緊急ボタン?見当たらない。
そして、あったとしても電車を止めてみんなの時間を止めるほど、ワタリは勝手ではない。
ごめん。スマホ。どうか。どうか、線路上にいるなよ。

発車のベルが鳴り、ドアが締まり、電車が動き出す。
それと同時に今やれることはなにか?
と考える間もなく、
ワタリは走った。走っていた。

駅員さんがどこにいるのかわからない。でも走るしかできない。

ほぼ裸足なサンダルを履いて、何も繋がっていないワイヤレスイヤホンをプラプラさせつつ走るおじさんは
どんなふうに見えたんだろう?想像するにこわい。面白いよりもこわい。
50メートルくらい入ったところに駅員さんを呼ぶブザーがあった。
ブー。
「はい。どうしましたか?」
「すいません、スマホを線路に落としました」
「わかりました。何号車あたりですか?」

衝撃が走った。

ワタリは何号車にいたのか?
さっきの降りたところはどこだ?
まったく分からない。
とにかく走ったからだ。バカ。

「走ってしまって、、わからないです」
「わかりました。いまから向かいますので、落ちたであろうところにいてください」

また走る。
どこらへんから走った?たぶんここらへん?ほんと?
なんとなくの場所から閉まってるゲートから身を乗り出して見ていく。
しかし、どこを見てもない。

ほぼ裸足のサンダルで何も繋がっていないワイヤードイヤホンをプラプラさせてゲートに身を乗り出しているおじさんは、どんなふうに見えたんだろう?100怖い。

まだ駅員さんは来ない。
そうだ!とポーチからワイヤレスイヤホンを出した。
耳にいれる。起動する。
「コネクテッド」と聞こえた。

生きてる!

そのすぐあとにまた電車が勢い良くホームに入ってきた。
「アンコネクテッド」と聞こえた。

死んだ!やだ!

ボタンを押したらさっきまで流れたいた藤井風が流れるか?帰ろう流れるか?
と、ボタンを押す。しかし反応がない。
帰ろう!流れてよ!返してよ!どこにいるのよ!

半狂乱になりそうなワタリのもとに駅員さんが現れた。
3人。ボスらしき女性駅員さんが話を聞いてくれる。
残りの2人は男性。虫取り網とマシリト博士の手みたいな掴む棒をもっている。

みんなで電車が通り過ぎるたびにゲートを覗いて探す。

しかし見つからない。時間も過ぎていく。

「ゲートを開けることができるんですが、全部を開けるわけにはいかないのです。ゲートを開けられるのは2つまでです」

ボスから伝えられた。
もう本当に自分がどこにいたのか分からない中で、
検討をつけてまず1つ開けてもらう。

ない。まったくない。開いたゲートにしゃがみ込み、土下座するような体制でホームの裏側まで見たが、ない。
山崎まさよしもびっくりするくらい隅まで見たけど、ない。
良く見たら線路の脇に、そこにスポッと入ってしまったら本当に地獄に繋がってるんじゃないか?ってくらいの闇があった。あそこに入ったらもう終わりだ。

「あの…電話してもらうことってできるんですか?」と男性駅員さんに聞く。
「あ〜、、そうですねぇ」と限りなくそれはできないニュアンスを受け取る。

夜間捜索という言葉が出た。
終電が終わって工事もなければ探してくれるという。

そして明朝ワタリから電話して見つかったかどうかを聞くという流れに。

お礼を言いつつ、電車に乗る。

完全に文明から切り離されたワタリはロクディムに連絡が取れない。
たぶんギリギリ…間に合うかなといったところ。
なにより、会場の代々木八幡コミュニティセンターにたどり着けるかが怪しい。
代々木八幡駅について改札を出ようとしたときにハッとする。
ICアプリで改札入ったやん。スマホないと出られへんやん。
駅員さんに事情を話したら「現金で払っていただけたら大丈夫です。どちらから乗られましたか?」
と聞かれ、絶対に近場を言ってもバレないが、とても正直に乗った駅を答えた。当たり前です。
(※もうこれ以上、トラブルが起きてほしくないんや)

さてYCCは?
駅で地図を見る。
追い詰まっているからか?能力が開発されたのか?地図の見方を瞬時に理解し探し当てた。

ワークショップ受付開始は10:30。
ワタリが到着したのが10:20だったとおもう。
入口の坂道のところで電話してるロクディム共同主宰カタヨセヒロシを発見。
ワタリにかけてたようだ。

事情を伝える。会場にはいって、他のメンバーにも説明。
時間も間に合って、ワークショップをやってライブも盛り上がっておわり。(※これはまた別記事で)

1日スマホを持っていない生活。
事あるごとに手がスマホを探していた。
よほど依存しているな、とわかる。
そして、その用事のほとんどは大したことがない。
もしや、スマホなし生活のほうがめっちゃくちゃ良いのでは?
いざとなったときに?そんなのなかなか来ないし。
それよりもいざじゃない、日常という尊い時間を無駄に過ごしてるほうが問題だし。
結構真剣に考えたけど、細かいところでスマホがないと面倒な場面もあった。
電話番号がなくなることで、いろんな登録もできないし、また連絡や、地図、お店のオーダーなどなど。
なので、極端にやらずに持ってるけど、ちゃんと依存しないようにしよう、と思えた24時間後、
次の日の朝、下北沢駅に電話をして、無事に保護されたことがわかった。

すぐに取りにいくと、無傷(まえに落としたときの液晶のヒビはあるけど)、しかもバッテリーも半分残っていた。
なんたる奇跡!
いったい何本の電車が君の上を通ったのか。
怖かったろう。ごめんな。

いろんなことを感じて考えた24時間。
駅員さんご迷惑をおかけしました!感謝です。

⬇️渡猛のコミュニケーションワークショップ情報。都内(世田谷)にて継続開催して18年目。どなたでも参加できます!⬇️

 

 

⬇️渡猛が企画したり出演したりするインプロ(即興劇)ライブ情報はこちら⬇️

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次