空の上、隣で起きたこと
(本日のブログ、少し怖い描写があるかもしれません。飛行機苦手な人は読まないことをおすすめします)
先日の熊本への旅。
羽田から熊本空港へ向かう飛行機の中での、忘れられない出来事について書いておこう。
飛行機乗ってて初めて急病人が出た。しかもワタリの真横で。
空がキレイだな〜とおもって写真を撮って顔を正面に向けたら違和感。
通路側をみたら、CAさんが
「お・・お客様?」と戸惑っている。
誰に言ってるんだろ?」と目を凝らすと、その戸惑っているCAさんの背中にぴったりと人がくっついていた。
「人がくっついていた」なんて、ものすごく変な言い方してるけど、本当にそんな感じだった。
脱力してCAさんの背中に身を委ねているような。
顔もCAさんの肩にうずくまるようにしてるから人って認識にならなかった。
間違いなく人がいる!
「あの・・お客様??」
くっつかれているCAさんは誰が何をしてるのかさっぱりわからなかったと思う。
埋もれていた顔がようやっと上がった、おばあさんだ。
マスクをしてるけど、それでも苦しそうなのはすぐにわかった。
CAさんの耳に顔を寄せて何かを言おうしてるっぽい。
それが聞き取れないのか、とにかくCAさんはこの状況を理解すべく、おばあさんをなんとか背中から剥がして向き直った。
すでにおばあさんは自分で立てない状態になっていた。
すとんと床に崩れ落ちた。
それを支えるようにCAさんもしゃがみ込む。
いきなりはじまったエマージェンシーな流れに、ワタリはいても立ってもいられなかったが、ワタリは窓際。
真ん中と通路側にもおじさん達が座っているため身動きが取れず・・。
そしておじさんたちももちろんCAさんの異変に気づいてる。しっかりと見てるから。
ほとんど動きがないが感覚的に「・・あ。何かできる?いやCAさんいるし」ってなってる感じ。傍観者とまではいかないまでも、ひとまずCAさんにお任せ!みたいな状態と察した。
でも、もう少し動いてもよくない?とくに通路側!っておもってる間に他のCAさんが2人駆けつけた。
なんとかおばあさんを立たせたいんだけど、おばあさんは全然立てない。
そしたら通路を挟んでワタリたちの反対側に座っていた女性が、嘔吐袋の封を切ってさっとCAさんに渡す。それだけでなく、素早く席を立ち、「この椅子に座らせてください」とCAさんに伝えた。
「そこなら・・」という感じでおばあさんは女性が座っていた席に座った。
その後、CAさんが連れのおじいさんに伝えたのだろう、おじいさんが駆けつけた。
目を閉じてしんどそうにしているおばあさんに何かを話かけたが、反応できないおばあさん。
おじいさんは立ち尽くすしかない。
CAさんがおばあさんが座っている隣の席の男性に移動してもらえるか?を伝えた。
「あっ。いいですよ」と男性は立ち上がる。
このときにわかったんだけど、その男性、ワタリでも「うわ〜」って思うほどイケメン(しかも高身長)だった。
いや、何を考えてるんだワタリは、今はおばあさん、おじいさんだろ!
よくわからないダメ出しをワタリがワタリにしはじめたが、おじいさんはおばあさんの隣に座ることができた。
CAさんが体温を測ったり、熱中症のときに飲む水分補給のドリンクを渡したりする。
他のCAさんはトイレにいこうとして歩いてくる乗客に反対側のトイレを使ってもらうように誘導している。
このテキパキさ、そして反対側の女性の機転の素晴らしさ。
それに比べて我が列はどうした?男たちよ!
勝手に自分も含めて「ボンクラ一座」と命名した。
「大丈夫ですか!?」くらいの声がけはしなよって、あとで反省会だ!
「当たり前」が揺らいだ静かな時間
その後、タオルで目を隠しているおばあさんは少しだけおじいさんの言う事に反応できるようになっていった。
CAさんもここでやれることは全部やった感じになり、そしてまもなく飛行機は着陸にむけて降下をはじめるタイミングとなり、いなくなった。
ひとまず、落ち着いた。
おじいさんはただただ隣に座っている。心配そうな顔で。
おじいさんは今日、おばあさんが飛行機で倒れるなんておもってもいなかっただろう。
おばあさん本人はどうだったんだろうか?いつごろから不調だったのか?
おばあさんはおじいさんに頼る感じはない。ただ目を閉じている。
おじいさんは手を握ることもなく、座っている。
普段から握ってないのかな?どうかな?
たぶんこの様子だと大事はないだろうと思うけど、
突然きたエマージェンシーな状態に色々考えた。
いつかは一人で死ぬんだよな。そんな当たり前のことをおもった。
この飛行機が目的地にたどりつくことも当たり前じゃない。
人生はいつ終わるのかわからない。
最後の最後まで目一杯遊んでおけ。
だからさ、
「大丈夫ですか!?」くらいは言いなさいよ!」(※ボンクラ一座反省会)
だからワタリは、命を燃やして舞台に立つ
「命を輝かせたい」ここ数年、強くそう思っています。本当の一生懸命とは? 本気とは? どうすれば、もっとその感覚を掴めるのか?
裸足で生活してみたり、呼吸法や瞑想、身体トレーニング… 色々試しています。
でも、どうやら人間の「本気」というのは、普段は眠っていて、「いざ!」という極限状況にならないと、なかなか発動しないのかもしれません。安全で便利なこの時代だからこそ、その「本気」に触れる機会は少ない。
ただ、ワタリには一つ、幸運な(?)特性があります。それは「ビビリ」であること!(笑)
ビビリだからこそ、些細なことにも心が揺さぶられ、危険を察知し、ある意味で常に「いざ!」という状態に近いのかもしれません。ビビリなおかげで、命が発動しやすい。ビビリで良かった!
そして、そんなビビリなワタリが、 最も「命が発動する」瞬間。それが、ひとり即興芝居LIVE『ヒトリワタリ』です。
特に、来週4月26日(土)に開催する能楽堂でのヒトリワタリ。
あの神聖で、研ぎ澄まされた空間で、たった一人、何が起こるか分からない即興の世界に飛び込む。
これはもう、超絶に命が発動する、特別なライブになるはずです。
あなたも、その瞬間を目撃しに来ませんか?
生きること、死ぬこと、そしてその間で輝く「本気」の瞬間を。
「ひとり即興芝居LIVE『ヒトリワタリ』at 能楽堂」
日程:2025年4月26日 (土)
出演:渡猛(ワタリタケシ)
即興ピアノ:コニタン
時間:開場 12:15/開演 13:00
料金 : 前売 ¥5,000
会場:銕仙会能楽研究所2F本舞台
住所:東京都港区南青山4丁目21−29
■購入ページURL https://eplus.jp/sf/detail/4294990001-P0030001
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