窮地に立たされたときに、あなたと戦ってくれるうどんはいるか?

コミュニケーションの授業をやっているけれど、ワタリ、実はなかなかの小心者である。

昨日もそんな小心者のワタリが顔を出した。

丸亀の小学校でのワークショップが終わり、午後には解散。
担当のスタッフの方にここから歩いて行けるオススメのうどん屋さんを聞いた。
最近は1日1食(または1.5食)にしていたけれど、やはり香川のうどんの魅力に勝てない。
とくにワークショップを無事に終えたあとなんて、とくにご褒美で食べたくなる。

ホテルから歩いて6分くらいのところにあるうどん屋さんを紹介してもらった。
しかも「そこは肉うどんが人気で、それももちろん美味しいんですけど、お店の人からするとカレーうどんのほうがオススメみたいです。そしてカレーうどん・・・美味しいですよ!」なんて情報まで添えてくれた。

これはもう絶対に!カレーうどん!

そんな気持ちで寒波到来の丸亀の町を歩く。
スマホで地図を出して歩いているけど、その手があっという間にかじかむ。
しかし寒ければ寒いほど、カレーうどんへの気持ちが高まる。
寒いのもあるけど少し小走り気味になっているのは、やはくアトラクションに乗りたい子どものような心持ちだったからだと思う。はやく食べたい・・!カレーうどん!

お店はやはり繁盛していた。
お店の入口から少し行列ができていた。
でも回転も早く次々とお客さんが出てくる。

最後尾に並び、お店の中に入る。
前のお客さんが

「なにがええんかな?」
「肉うどんやって」
「おお、じゃあそうしよう」

なんて会話をしている。

いやいやカレーうどんだから。

そのときのワタリの優越感。
「地元の人からの耳寄りな情報」は特別な人しか入れないVIPルームみたいなもの。
その招待券を!こっちは持ってますから!
前の人たちの会話を聞いて心の中でニヤニヤしつつ、
店内を優雅に見回し、なにげに壁にかかっているメニューのほうを見たら

カレーうどん
肉カレー
売り切れました

と、書かれた看板が目に飛び込んできた。

急に黒服のゴツい人たちが出てきてワタリの耳元で

「No curry get out here」

と囁いた。

いや、実際に黒服さんはいないし、言われてもいないんだけど、急にこの場にいてはいけない人みたいな気持ちになった。
え?ないの?カレーってなくなるの?
なんて意味のない自問自答をしているうちに
前の人たちが注文する。

「肉うどん!」
「あいよ!」

強面のおじさんが気持ち良く返事をしている。
え?肉あるの?でも看板に肉も・・。
あ、やばい、ワタリ、何に・・。

「はい、お次は!?」

眼光鋭くワタリを捉えて逃さない(と、ワタリが思い込んでる)おじさんの一声を受けて、喉がカラカラになる。

「2秒だ。いいか、2秒だけ待ってやる。それ以上は待てない」

言われてないけど、そう受け取ったワタリ。
しかし、ワタリだって負けるわけにはいかない。
こっちはもう完全にカレーの口になってるんだ。
2秒?上等だよ!言ってやる!聞いてやる!俺の声を聞け!

「カレーって・・ないんでしたっけ?」

信じられないくらいか細い声が出た。
蚊が鳴くような声と言うけれど、その蚊が「ちょっとアレは真似できない」と言わしめるほどか細い声だった。

「え?!」

当然おやっさんは聞き返す。喉はもうカラッカラだ。
でももう次はない。振り絞れ!

「カレーってもうないんですかよね?」

もう日本語おかしいけど、人の耳がキャッチできる声量は出た。
そしたらおやっさんが言った。

「ああ、カレーね!あいよ!」

え?カレーあるの?!
頭の中でサツキとメイ(ジブリ知らない人ごめん)が出てきて「夢だけど夢じゃなかった!」と踊り出す。
しかし次の瞬間。

「違うよ。カレーないよ!書いてあるだろ!」

きっとそんな風には言ってない。しかしその時のワタリの耳にはそのように聞こえ、
そしてその声はワタリの心の中の五大陸に轟いた。
サツキもメイもマックロクロスケも一瞬でいなくなる。
大陸に・ワタリ・ひとり。

「ぶっかけで!」

とにかく強い音で対抗しなくてはいけないと思ったのだろうか。
気がついたら口にしていた。
ぶっかけ。
かけうどんや、釜玉では勝てない。誰に?
もうわからないけど、ぶっかけ。ぶっかけが良い。

「冷たいの?あったかいの?」
「あたたかいので!」
「あいよ!」

気がついたらワタリのトレーにはぶっかけが置かれていて、そして
コロッケとちくわを追加でいれていた。
ぶっかけのお供に追加してないと、勝てない(誰に?)と思ったんだろう。

席を探して座る。
両隣の人のうどんの上には肉が乗っていた。

「・・肉はあったのね。カレーがないってことだったのね」

そのあとは

「肉うどんってさ、なんか肉が強いからさ、うどんの風味?っていうのかな。そういうのがなくなっちゃうよね」

ものすごく美味しそうに肉を食べている人たちに挟まれながら、全力で自分のぶっかけを正当化する作業に没頭。

負けてない。勝てないまでも。負けてないよ!なんなら最初からぶっかけを目指して来てましたし!

頭の中でZARDが流れる。

最後まで走り抜けろ、と。
ぶっかけ感を出したまま、
カレーなんて全然好きじゃないって感じで
肉とか・・ちょっと無理です
みたいなオーラで
最後まで走りぬけて!

きっと普段の1.4倍くらいのスピードでぶっかけを平らげて

静かにお店を後にした。

それから1日経った今、とにかく言いたいこととしては

ぶっかけもめっちゃ美味しかったよ!

そして

今日リベンジ果たしたよ!
肉カレーうどん!最高に美味しかった!

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • お店の人に強めに「はい!お次は!」とか言われたら私も焦ります〜渡さんの気持ちわかります〜

    肉カレーうどん美味しそう〜

    リベンジおめでとうございます!

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