ゴールデンウィーク真っ只中。
みなさん、お元気ですか？
世間が浮き足立つ中、ワタリが担当する京都精華大学のコミュニケーション授業は、驚くほど学生たちが集まってくれた。正直、連休だしもっと少ないかな？なんて思っていたよ。。
「ＧＷじゃないの？」って聞くと「なんですか？それキュウイの仲間ですか？」くらいの反応だったよ。
心配にもなるけど、とにかく東京から来てるワタリとしてはその熱意にグッときた。みんな、ありがとう！
この日のテーマは「人に伝える」。
ワタリがもう何年も続けている、シンプルだけど奥が深い、鉄板の人気ワーク。
「写真伝言ゲーム」とでも言おうか。
まず、数人のグループに分かれてもらう。各グループから代表者が一人、前に出てくる。
ワタリが用意した様々な写真集の中の一枚をたった30秒間、穴が開くほど見つめてもらう。
色、形、写っている人やモノ、空気感、ストーリー… 五感をフルに使って、その写真の世界にダイブしてもらう。
そして、グループに戻り、今度は言葉だけで、見た写真の情景を1分間で必死に伝える。身振り手振りは基本禁止。
声と言葉だけが頼りだ。
グループの他のメンバーは、その言葉に全身全霊で耳を傾ける。
そして、聞いた情報を元に、3分間でその情景を絵に描く。画力？関係ないよ！
聞いたイメージを、ただ懸命に形にする。
最後に、元の写真と、みんなが描いた絵を見比べて、答え合わせをする。
それぞれが書いた絵を見て、笑ったり、驚いたりして、そして実際に写真を見て「おお〜！」とどよめく。
同じ説明を聞いたのに絵にしたら全然違ったり、びっくりするくらい的確に書けたり・・。
このワーク、「うまく伝えられたか」「うまく描けたか」が重要じゃない。大切なのは、そのプロセスにある。
「必死に見る」
「必死に喋る」
「必死に聞く」
ただ、それだけ。でも、これが現代社会で、我々が忘れがちなコミュニケーションの「核」なんじゃないか、と思う。
ワタリが毎回グッと来るのは、写真を見つめる学生たちの「目」。
30秒間、スマホもSNSもない世界で、ただ一枚の写真と向き合う。
その時の彼ら彼女らの真剣な瞳はなんていうんだろう。
生命力に満ちた感じがある。
「うわ〜いま写真撮りたいな〜」って、毎回思う。
伝える側も、聞く側も、ものすごく集中する。言葉の一つ一つを大切に選び、聞き漏らさないように耳を澄ます。
なかなかにエネルギーを使うと思う。
向き合うって、大変なんよね。疲れるんだよ。それが普通だよ。
でも、みんなすごく良い顔してるん。
「（伝える人の話を）一生懸命聞くのが楽しかった」
授業後に、ある学生がポツリと呟いた言葉がとても印象的だった。
「うまく話す」ことばかり気にしがちだけど、「真剣に聞く」こと、そして「真剣に聞いてもらえる」ことって、それ自体がものすごく豊かで、嬉しい体験。
また授業が終わった後、最近、個人的な悩みを相談してくれる学生が増えた。進路のこと、人間関係のこと、自分自身の表現のこと…。みんな、真剣に悩んでる。ワタリにできるのは、ただ真剣に、彼らの言葉に耳を傾けること。
そして、何か伝える言葉が見つかったら、それをできるだけ丁寧にわたす。
それで彼らの表情が少し軽くなったり、次の一歩を踏み出す勇気が出たりすれば良いなと思う。
12年以上やってきて、そういう瞬間に何度も巡り合ったりする。
それも大学で教えることの醍醐味。
この世界は複雑で、大変なことも多い。どんどん情報も人も溢れていて、効率や体裁ばかり気にしてしまう。
誰かの話を「ながら聞き」したり、自分の言いたいことだけを考えてしまったり。
でも、ほんの少しの時間でもいい。目の前の人や、目の前のことに、ただただ「必死に」向き合ってみる。真剣に見る、聞く、伝える。
それをやったことがあるかどうか？って本当に大事だと思うんだ。
自分に向き合う時間。
自分も他者も大事にできる豊かな時間。
その時、きっと普段は閉じている心の扉が開いて、相手との間に、あるいは自分自身の内側に、温かくて、いい感じのキラキラした何かが生まれるんじゃないか。
そのためにも、ただ、やってみる。実践あるのみ。
その実践の中で、少しでも多くの人が、この世界を「面白いな」「生きてるって悪くないな」って思えたら、最高に嬉しい。
もし、「真剣に関わるって、どういうことだろう？」「もっと人と繋がりたいな」と感じているなら、ワタリのインプロワークショップに遊びに来てみませんか〜？ 一緒に「必死に、でも楽しく」遊んでみましょう！
ワークショップ情報→https://jamtarilab.peatix.com/events
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