なぜ失敗を恐れずに挑戦できる?マツリ稽古「次どうなるの?」で見えたインプロの本質キースのワークとマツリメンバーの親和性

先日のマツリ稽古で、改めてインプロの奥深さと、学びが加速するために大事なことは?を考える体験をしたので書きます。

やったワークは
インプロの父、キース・ジョンストン氏が考案し、「毎日やってください」と言ったワーク
「What comes next?(次どうなるの?)」。

毎日やってください=ものすごく大事な基礎ってことですね。

「基礎は立ち返る原点であり、そのジャンルの骨格であり、奥義である byパーマネント・ワタリノスラフスキー」

当然ながら、この「次どうなるの?」も非常に多くの学びが詰まっています。
これ、いろんなバージョンがあるんだけど、今回やったのは

ひとりプレイヤーがステージに立ち、観客を背にした3人のディレクターは、そのプレイヤー(基本的には「何もできない役者」いう設定)に具体的な指示を出します。

「次どうなるの?」
「鏡の前で髪の毛をセットして」

プレイヤーは指示通りに演じ、再び「次どうなるの?」と問いかけます。
「バッチリ決まった髪を見て『よし!』と気合いを入れて」

ポイントは、ディレクターの後ろにいる観客(他のメンバー)の反応。
ディレクターが出した指示に対して、観客が「いいね!」と言えばそのまま続き、「え〜!」という反応が多ければそのアイディアは却下。別のディレクターが新たな指示を出します。

このワークの狙いは多岐にわたります。

ディレクターがお客さんが「おおっ。で、次はどうなるの?」と期待が膨らんでいくような指示を出せているか?
今、観客は何が気になっているのか?何をみたがっているのか?
うしろの「気負いゼロ」のメンバーが反応してくれることで知ることができます。

目の前で演じてるプレイヤーの表現から、次の瞬間に期待すること。

頭の中で「ええっと〜!次の展開は〜!?なんだ?」と考えているプレイヤーは目の前に起きていることから次のアイディアを出すことができません。
頭の中で先を考えない。とにかく目の前で起きていることを見る。

またひとりがアイディア浮かばなくても、他の2人のディレクターがいてくれる。

その分、気負いすぎず提案ができる。

そんな仕組みだからこそ、

観客のリアルな反応を通して修正・確認し続けることで「何がお客さんを楽しませることができる即興なのかを知る」非常に効果的なエクササイズなのです。

しかし、それでも、このワークが難しい時があります。
ディレクターが観客の「え〜」という反応を恐れたり、面白いことを言おうと考え込んだりすると、途端に場の空気は重くなり、即興の持つ軽やかさが失われ、黙りこんでしまう3人のディレクターと何もできないプレイヤーが現れるという地獄がやってきます。

しかし、マツリメンバーはすごかった。

この「考え込みやすい」難しいワークに、頭を抱えながらも「面白い!」「もっとやりたい!」と前向きな言葉を発し(実際に言葉にするのがすごい)、果敢にチャレンジしていきます。

失敗しても、それを笑いに変え、挑戦した仲間には温かい拍手を送る。
ワークが始まる前から、ユーモアを交わした遊びが自然に生まれている。

何千人とインプロの現場を見てきましたが、失敗を恐れずに学びの機会として捉え、それをポジティブなエネルギーで進めるプレイヤーは、そう多くはありません。

キース・ジョンストンのワークは、本質的。
しかし、その真価は、座学で理解するだけでは決して得られません。
実践し、体現してこそ、その価値は光り輝くのだとワタリは考えます。
その体現するために、ちゃんと稽古として身になる環境が大事。
前向きにトライして笑って、見つめてまたトライする。

これができないと、
やってみた。「え〜」って言われた。萎縮しつつ終わった。振り返って何が大事か「理解」だけした。(※分かった気になる地獄)

最悪は「難しい」「怖い」「苦手」という感想で終わってしまう。(※永遠に学べない地獄)

海外では、キースのインプロを実践している人は(その難しさ故に)それほど多くないと聞いたことがあります。
それが事実かどうかはわからないけど、とても納得できます。
本質的なことは難しいのよ!
そして体現には時間がかかるのです!

その体現への道のりは、「良いワーク(稽古法)」「良いコーチ(指導者)」そして何より「良いプレイヤー(参加者の姿勢)」が三位一体となって、初めて加速していくのだと、今回のマツリ稽古で改めて確信しました。

それでもね、もっと時間がほしい! と思う。

だって「毎日やりなさい」だからね。

この探求を、毎日やれる環境を作れないだろうか…? そんな思いが、またむくむくと湧き上がってきています。

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