即興芝居のエクササイズに「次どうなるの?」というものがあります。
1人が1人に「次どうなるの?」と聞いて、聞かれた人が「◎◎しよう」と提案します。
それで相手が賛同したらそのアイデアに乗って芝居にする。そしたらまた「次どうなるの?」と聞かれるので、また次の提案をします。
そうやって1つ1つ「相手をより楽しい状態につれていく」ことや、「人を惹きつける物語」を学んでいきます。
提案したアイデアに乗れなかったら「のん!(あくまで可愛く)」と伝えます。
映画「パラサイト 半地下の家族」はこれをとんでもないレベルで表現している傑作です。
あらすじ
キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。
パラサイト 半地下の家族
エンターテインメント性もありつつ、過酷な現実も突きつけている悲喜劇。その緩急は「ジョジョ・ラビット」にも通ずるものがあるな〜と感じました。
役者さんもとっても素敵なんですが、なにより脚本。
本当に「え?次は?どうなるの?え?えー!」とワクワクドキドキしっぱなしでした。
裕福な家にどんどん寄生していった家族が、家主が留守の間にリビングでお酒を飲むシーン。
ここからドキドキが止まりません。
「簡単に家主が帰ってきて見つかる」ということではないのが、このシーンの流れが丁寧であればあるほどわかっていきます。
そして、帰ってきたのは家主でなくクビになった家政婦。
土砂降りの雨の中、ビショビショになって奇妙な笑みを浮かべながらインターホンを鳴らし続ける。
ここからの急展開が、見事。
また雨の使い方が秀逸。
豪邸から半地下の我が家まで逃げる水の流れとともにどんどんくだっていく家族。
貧富の差が見事に表現されておりました。
トイレから噴射してくる汚水の上に座り込んでタバコを吸う長女のたくましさ。
おしっこしてるやつに水をぶっかけるシーン。
ラストシーンの絶望的な表情。
ニオイのことを言われ目を閉じるお父さん。
弱みを握った瞬間に豹変する家政婦。
眼に焼きつくシーンがたくさんありました。
監督は「殺人の追憶」「グエムル」「母なる証明」のポン・ジュノ。
どれもすんげーいい映画。
脚本も共同でてがけていて、数々の映画祭で「脚本賞」を受賞しています。
また第72カンヌ国際映画祭で韓国映画として初めてパルム・ドール(最高賞)も受賞。
「ほとんどリハーサルはしない」という監督の撮影スタイルも気になります。
いやぁ良い映画でした。疲れたけど(笑)
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