若かりしクリスマスの思い出

クリスマス。

子供のとき、起きたら枕元にプレゼントが置いてあった。あれはたしかキン肉マンのオールスターフィギュア。

いわゆる「キンケシ」だったように記憶している。

カーテンの隙間からはいってくる朝日に照らされたそれがものすごい素敵にうつった。

毎年、起きたら、靴下や枕元に置いてあるっていうのがとんでもなく嬉しいことだった。

上京した最初の年。

同じく上京していた同級生と渋谷のスクランブル交差点で、ギターを引いて歌った。

いちゃついているカップルにたいする「イラつき&羨ましさ」や上京してまだ間のない「寂しさ」と、いつも面白いことをしていたいという「情熱」がごちゃごちゃになりながら歌った。

「今度うちで歌ってくれない?」

と、いきなりコートをきたおじさんに名刺を渡された。

「娘の誕生日パーティーが今度恵比寿のマンションであるんだ」

後日、ガーデンプレイスにあるマンションの中にいって、彼女の前で歌った。

そんなに年がワタリたちと離れてると思えない娘は、歌っているワタリたちを前に携帯を耳にあて「あーはいはい。なんか今やってるから、もうちょっとしたらいくー」と誰かと話ししていた。

こういう人間にはならない。そう誓った。

翌年のクリスマス。

なんかいい感じになりそうな子とクリスマスデートをした。

映画を見た。

「ブエノスアイレス」という映画だった。

濃厚な男同士のセックスシーンをとてつもなく気まずい空気で見た。

ウォン・カーウァイ!レスリー・チャン!

っていうだけで、内容も把握せず、恋する惑星ならぬ恋するワタリになれるんじゃないか?と当時のワタリは思ったのか。

で、蓋をあけたら美しくも同性愛の映画。

お互いいい感じになっているところで、クリスマスに映画見よう!って誘ってきて、この映画。

「え?間接的にカミングアウトしてる?」って思われたのかもしれない。

彼女とはその後ご飯して別れた。

今度のクリスマスには、その変な空気を打破するユーモアや、自分の状況を説明する言語や、彼女の心境を言葉にしてもらうように関わる思いやりを靴下の中に入れてほしい。

そうサンタにお願いしたとかしないとか。

ふと、昔のクリスマスを思い出してみた。

Photo by hue12 photography on Unsplash


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