傘がなくても夢の中

使っているボールペンのインクがなくなったので替え芯を買いに駅近くにあるロフトまで。
いつも芯が売ってある場所にいって、型番を探して引き出しをあけると、なんとワタリが探している黒だけがない。「赤」も「緑」もあるのに黒がない。都会では傘もない。
とくにマニアックなボールペンでなくかなり一般的なものなのに、ないとわ・・。
でももしかしたら在庫があるのかも?と思って近くにいた男性の店員さんに聞いてみた。
店員さんはワタリが探していた替芯コーナーにいき、ワタリが見ていた引き出しをあける。
何回か手で他の芯を触ったあと、店員さんもすこし戸惑ったような顔をした。

「探してみますので少々お待ちください」

そういって、店員さんは足早にお店の裏にいった。
しばらく待つ。
他のペンとか見る。
まだ店員さんはこない。
頭の中で井上陽水が流れる。

行かなくちゃ。替芯を探しにいかなくちゃ。黒がない♪

替え歌バージョンで流れるもなかなか店員さんは帰ってこない。
しばらくして小走りに帰ってきた。
そしてまた同じ引き出しをあけて探し始める。
こうなるともう「ないですね」が濃厚だなぁなんて思い気持ちを諦めに傾けた。
店員さんは引き出しを戻し立ち上がる。
なんともう1人の店員さんに「ちょっと手伝って」と声をかけ「あるはずなんだよ。でもないんだよ」と言いながらまた違う場所へ。

店員・・さん。

頭の中の井上陽水はギターを持ち替え曲を変更する。

探しものはなんですか?見つけにくいものですか?引き出しの中も店の裏も探したけれど見つからないのに。まだまだ探す気ですか?♪

1本80円の替芯のために走ってくれている。
1人じゃなく2人で。家族で参加して楽しむスタンプラリーの隠れているキャラクターを探すみたいな規模に。
このまま店員さんがまた声をかけ最終的にはお店総出で探すとかになったら・・・なんて妄想がはじまったころに

「ありました!」

笑顔で、誇らしげにボールペンの替芯を握りしめて。

「1つで良いですか?」
「2つください!あと緑も1本ください」

急に必要ではない緑も買った。
例え替芯がなかったとしても、気分良く帰ったと思う。
相手のために一生懸命応えようと関わってくれる。
なんて夢気分。ウフッフー♪と鼻歌。

空はキレイな夕暮れ。富士山がより美しくみえた。

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