8歳の子が放ったパンチは37歳の男のテンプルにクリーンヒットした。

こんにちは。渡です。

2月の話。

渡が共同主宰する即興チーム「ロクディム」で、鎌倉は長谷公会堂にて即興LIVEをやってきました。

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対象は子供たち。

開場と同時にたくさんの子供たちがお母さんと一緒に入ってきます。

最近、子供たちを前にライブをやる機会が増えてきたロクディム。

やってて思うのは、いざお芝居が始まった時の子供たちの集中力の凄さ。そして終わった後のなつかれ具合(笑)

今回もライブ後、

蹴られるアツシ

速攻でメンバー小田篤史が囲まれました。よく見ると蹴られておりました。なので、渡は静かに外に移動しました。

それを見逃す子供たちではありません。

子供たちが走ってきて渡を囲んで

「ねー鬼ごっこやろーねー」

「逆上がりできる?ねーできるー?」

って言われてる間に渡の帽子(ハット)は取られフリスビーと化すのです。

いつも渡の帽子はフリスビーになります。

それ自体はまぁ良いのです(汚れなければね!)

そして取られたことよりも、汗かきまくってるからなー帽子臭いとかなーっていう自意識がすごいわけです。

前に、同じように女の子に帽子取られてワーワー言いながらどこかに行って、もどってきたら別の女の子が渡の帽子を持ってきてて、

それはもう、この世のものとは思えないほど嫌悪に満ちた顔で渡の帽子の端っこを親指と人差し指でできるだけ触れる面積が少ないように持ってきた時は

「ああ、ごめんね。。」

なんてなぜか謝ったりしてね。何もしてないのに傷を負うこともあるわけです。

でも子供たちと遊ぶ時間はやはり楽しい。

今回もひとしきり鉄棒やって鬼ごっこやって「ハット返してよ〜ねえ〜返してよ〜」と、遊びました。

で、この後、ロクディムで動画撮ったりしたかったので、そろそろねーなんて言ったら

女の子が1人「どこいくのー?」なんて来て「海行くんだー」って言ったら、「じゃあ、連れてってあげるー」

となったのです。

女の子はここらへんに住んでいるらしく。自転車にまたがり歩く渡に並走しながら「あたし、何歳に見えるー?」とか「ここが私ん家ー」とか「ここがお隣さんー」とか色々教えてくれました。

8歳の女の子。おませさんです。

基本的に渡とばかり話していて、ロクディムの他のメンバーはちょっと前を歩いている。

ふと、女の子との会話が終わり、黙って2人歩いていたら、女の子がじーっと渡の顔を見上げているのです。

なんだろう?何かついているのか?でもこの視線はそういう感じじゃないぞ?ん?

なんて気になった次の瞬間。

彼女は次の言葉を渡に放ったのです。

「長瀬に似てるね」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

な、、、な、、、、

長瀬に似ている。。。だと!!

ドドーン!

そのパンチは、渡の自意識のテンプルに直撃。

長瀬に似てる。。もうそう来たらアレでしょう。

TOKIOの長瀬智也でしょう?

そこで自意識が出てきます。

「おいおい長瀬智也って言ってないじゃねーかよー。何うぬぼれてんだよーうぬぼれ刑事かよ」

「それも長瀬がやってましたよね」

「他に長瀬っている?」

「永瀬正敏」

「どっちにしてもじゃん!」

「そしてこの子の言い方もまさに好意をもった感じじゃん。だとしたらダメな長瀬なわけないじゃん。そもそもダメな長瀬って誰よ?」

という脳内。なんでしょう。嬉しいとか言うよりも、慌てるとかパニックに近い感覚で誰も聞いてないのにどこかに走りだしたくなるような穴があったら入りたくなるような気持ちがドドーン!と来たのです。

そこで渡が返した言葉は

「。。え?長瀬って誰かな?」

なんということでしょう。

37歳。大人の男が「長瀬を知らないフリ」を決め込んだのであります。

「えー知らないのー長瀬智也だよ!」

「あ、知ってるよ知ってる!長瀬智也ね!えー似てる?」

「うん。似てる」

「そーかー嬉しいわー」

ダメです。テンプルにきたパンチは、渡の脳を揺らし、膝がカクカク状態、マウスピースもリング外に飛んでいきました。

「大人としての正しい会話」なんて答えはないですが、この返し方はもう0点。今書いてても恥ずかしい。

彼女に完全にノックアウトされた渡。

そのあと、海にいったんですが、隙あらば

「ねーあっちのほうに座れるところあるから行こーよー」

なんて、渡を引っ張って2人きりになろうとするんです。

そらそうです。彼女からしたら渡は長瀬智也。

そうか、長瀬智也はこんな気持ちなのか。。

すごいよ長瀬智也!

そんな彼女のエスコートにいつしか渡も長瀬智也として振る舞います。

女の子「(ちょっとした窪みを指差して)ここにねー昔落ちたことあるんだー」

長瀬「え、マジで?」

女の子「本当ー」

長瀬「落ちて、大丈夫だったの?怪我は?」

女の子「んー怪我はなかった」

長瀬「そうか。でも泣いた?」

女の子「うん、泣いたーふふふ」

長瀬「ははは」

これのどこが長瀬なのか分かりませんが、とにかくずーーっと長瀬風の顔をしていたことは確か。

「おーい、撮影するよー」

なんて向こうから呼びかけてけるロクディム・小田篤史こと国分太一。

「2人で何してるのよー」なんて言うロクディム・カタヨセヒロシこと城島茂。

もう、相当な無理のある世界。でも8歳の彼女ごしの世界は紛れも無くTOKIO。その一点に乗っかって見てる世界。

すると城島茂が、女の子に向かって言うのです。

「この中で誰が1番タイプ?」

女の子は2、3秒モジモジしながら、黙って指先を渡に向けます。

「おおー!」と、城島茂と国分太一。

そらそうだよ、だって俺は

長瀬智也

なんだから。

その後、完全長瀬モードになった渡。撮影が始まっても長瀬。

基本的にしかめっ面でポッケに手を突っ込んでるスタイル。当然、撮影難航。でも仕方ない。面白いことなんて言わなくて良い(いや、長瀬智也は面白くもあるけど)。あの8歳の彼女の夢を壊さないようにとにかく長瀬智也でいるのです。

なんて思った矢先。

「じゃあそろそろ帰るねー」

長瀬の鼓膜はそう震えた。そう聞こえた。

振り向くと、8歳の彼女は自転車に乗り、一度も振り返らず去っていくのでした。

そのあまりの呆気なさと恥ずかしさに、しばらく現実に戻らず長瀬智也でい続けた渡。

撮影はさらに難航したとさ。

いやー女の子ってスゴい。

いや、渡がどーしようもない。

そんな話。

ほなー。

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