【インド旅行記】シルディ・サイババに逢いにいく〜22〜愛を知る

その記事は渡猛がシルディ・サイババに逢うべくシルディ村にいったインド旅行記を綴っております。 最初から見たいかたは以下をクリックしてください。 【インド旅行記】シルディ・サイババに逢いにいく

男女が別れ、メイン会場に向かう。
メイン会場の真ん中奥に巨大なババの像がある。
ババから見て左側が女性。右が男性。
真ん中の空間にも人はいたように記憶している。
ババの下にはお坊さんが何人もいて、儀式の準備をしている。
列に並んでいきながら、真ん中の空間に入りたいと思った。
真ん中に入ろうとすると入り口で「ダメ」と警備員の人に止められた。
そうか、サイドからじゃないと見れないのか。
諦めてサイドの列を進む。
かなりババに近いところを陣取れた。
が、人がギュウギュウで、柱もあって、全然ババが見れない。
背伸びをしてなんとかすこし肩の部分が見れる程度だった。 
音楽がながれはじめる。皆が歌い始める。
ワタリは歌えるはずもないが、なんとなく声をだす。
ワタリの前にいた奈良さんはババを観ることを諦めたのか、1人少しだけ離れたところに移動して壁にもたれかかるように座り込んで瞑想をしはじめた。
ワタリはまわりにぎっちりと人がいて、ワタリの後方にいるはずのFくんを見るために身体を動かすことも困難なほどギュウギュウになっている。
連日、石畳を裸足で歩いているからワタリはもうふくらはぎがパンパンで腰もけっこうきていた。 
でも立ちっぱなしでいるしかない。
なんかそんな状態だった。
眠いし、疲れている。なかなかの苦行。
歌がどれくらい続いたんだろう。30分くらいかな。1時間かな?時間の感覚はほぼなくなっている。
歌がどんどん盛り上がっていったようにも思う。
とにかく、終わった。

歌が終わって移動がはじまる。皆、そのまま真っすぐ進んでババの横を通り過ぎて外にでるようだ。
もっとババが見たかったな~と思った。
そしたら
瞑想していた奈良さんがスッと立ち上がった。
顔を見た。
なんだか違う。意を決したような顔になっている。
奈良さんが口を開く。

「真ん中から行こう」 

え?っとこちらがリアクションする前に、奈良さんは列の流れとは逆方向に移動する。
真ん中にいくにはさっき警備員に止められたところからじゃないと入れない。
案の定、奈良さんが入ろうとすると、警備の人がけっこうなアツでとめる。 
奈良さんが押される形になる。 
これはいかん。だってもう警備員の人が奈良さんを手で押したもの。
しかし。
いつもの奈良さんじゃない。ワタリが江戸に生きていたら新選組の人ってこんな顔だったんじゃないか?っていうような顔になっている。
奈良さん、黙ったまままた入ろうとする。
警備員がさらに強い語気で注意する。
しかし、奈良さんは下がらない。
後ろからその様子をみていて焦ると同時に「・・虎?」って思っていた。奈良さんが荒ぶる虎の状態になっていた。 
さらに入ろうとする奈良さんについに怒った警備員がロープを出してきて通路にロープを張った。
これをされたらもうダメだ。だれでもこうされちゃ入れない。 
しかし「虎」は人じゃない。
なんと、そのロープをかいくぐった。 
え?
そして虎はこっちを見た。 
その目は「お前たちはどうする?」なんて選択肢を与えていなかった。
「来なさい」だった。
意を決してとかじゃない。もう身体が動いていた。
同じようにロープをかいくぐった。
怒鳴る警備員の声も遠くに聞こえる状態になった。
Fくんもきた。 
真ん中のスペースにはいった。
正面に巨大なババ。
とんでもない人がババのもとに祈りを捧げてもどっていく。
人がすごい時は警備員も容赦ない。
額を地面につけてお祈りすることは時間の関係か危険だからか、させないようにする。
それでもしようとする人の肩をつかんで引っ剥がす。
なかなかに騒然としている。
その中、真ん中からババのほうにいく。 
前を進む虎こと奈良さんが、自分の肩にかけていたショールみたいなやつをとった。 
「あ、ブレスをもらうつもりだ」
お坊さんにものを渡して、それをババの足元にかざしてブレスをもらう。
通常のダルシャンだとそれをやってくれたりするのだけど、今回は状況的に難しいように思った。
でもショールをとった奈良さんはそれをするんだ。
ドキドキした。
そして、もしそれがOKなのであれば、ワタリも。
大切な人たちの写真や、大切な人たちの名前を書いたノートを入れているカバンにブレスをかけてほしい。
そう思って進みながら、ワタリもカバンを肩からはずし手に抱えた。 

いよいよババの前にきた。
奈良さんはショールをお坊さんに渡す。 
なんとお坊さんはそのショールを受け取った。そしてババの足元にかかげた。ブレスをもらえた。 
良かったね!と思い、つづいてワタリもかばんを渡してみた。 
しかし
お坊さんは両手をワタリの前に突き出した。ノー!というサインだった。
カバンは受け取られなかった。 
「そうか」となんとなく「奈良さんのは明らかに危険なものじゃない。ワタリのは黒いポシェットで中になにがはいっているのかわからないしね」と理由を推測して諦めた。
警備員がワタリを引っ張った。
引っ張られるまま、後退した。 
そのときだった。

奈良さんがワタリの前に現れた。
え?って思うまもなくワタリのカバンをとって、また前に進んでいく。
引っ剥がされ帰っていくとんでもない人の流れを逆走するようにまた前に進んでいく。
さっきの「ノー!」と手を出したお坊さんの前にいって、ワタリのかばんを再びだした。
「ノー!」とお坊さん。
すると
お坊さんに向かってひざまずく形で 
「・・プリーズ!プリーズ!」 
っと言う。
ワタリはその姿を観ていた。 
それは、完全に人のためにとっている行動だった。 
人のために危険な状況の中、前にいって、心から頼み込んでいる。
跪いて懇願している。
「プリーズ!プリーズ!」

胸がいっきに熱くなった。
その姿に感動した。
しかしそれでもカバンは受け取られなかった。 
そしたらすぐに奈良さんはバッとかがんでカバンを地面につけ、そのカバンに額をつけて祈ってくれた。 
奈良さん経由でブレスをしてくれたように感じた。
警備員に引っ剥がされ、ワタリのもとに戻ってきて、カバンをわたし「これで大丈夫だから」といった。 
愛の行動とはこういうことだと思う。 
突き動かされるってこういうことだと思う。 
ババのほうを何回も振り返りながら後ろに下がっていく。 
ババはずっとこっちを見ている。
きっと今回の旅でこんな近くで逢うのは最後だ。
目に焼き付けるようにババを見た。

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