その記事は渡猛がシルディ・サイババに逢うべくシルディ村にいったインド旅行記を綴っております。
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2019年10月28日
Aさんの言葉で心が軽くなり、それを寝食をともにしているFくんに打ち明け、Fくんも「僕は『え?大丈夫なのかな?』と思っていました」という答えあわせができた夜。
なにかがパカっと開いたような感じがあった。
そこから時間を忘れて話をする。
F「そもそも最初ワタリさんと同じ部屋で泊まるってなったとき、いやこれ、ワタリさんがっていうより僕の問題なんですけど、そんな人とずっと同じ部屋って大丈夫なのかな?っ思ってたんですけど」
ワ「うんうん」
F「ワタリさんがすごく色々気を使ってくれる感じが、ほんと、ちょうどよくて」
ワ「いや、ワタリもだよ。イビキと歯ぎしりするし。大丈夫かなーって」
ナイーブ中学生が修学旅行で唯一の友を見つけたような(どんな?)盛り上がり。
F「もうちょっと変な話してもいいですか?」
ワ「もちろん。いいよいいよ」
F「ふふふ」
ワ「ははは」
しばらく盛り上がっていたとき
F「あ、そういえば」
ワ「ん?」
F「このあと、奈良さんとAさんがくるんですよね。たしか部屋を」
ワ「あ、そうだった。なんだっけ?オイル?聖水みたいなのを撒いてくれるって」
と、言った時だった。
コンコン
ノック音。
ナイーブ中学生黙る。
沈黙。
いま、話した、こんな絶妙なタイミングで?
「もういい加減寝なさい」
と先生が来たみたく、一気に沈黙。静寂。
ダンサーのFくんが美しい身のこなしで音もなくベッドから出て、ドアに向かう。
しずかにドアをあける。
F「あれ?」
Fくんは顔だけ外に出して左右をみて、ドアを閉めた。
F「誰もいませんね」
ワ「えー!」
F「でも明らかにノックしましたよね」
ワ「・・ババかな」
F「ババかもですね」
なんて言った刹那
コンコン。
再びノック!
ビクーッ
もし漫画だったらワタリとFくんにこんな音がついたくらいビクついた。
またFくんが美しい身のこなしでドアへ。
開けると奈良さんとAさんだった。
F「あ~びっくりした~」
ワ「さっきのノックされて~」
と言ったが、奈良さんの顔をみてすぐに自分のノリが間違っていることに気づく。
奈良さんが、極まっている。
この極まっているというのを何と言えば良いのだろうか?
まとっている空気が全然違う。
祈祷師が神に祈るような状態。
神と通信するモードって言う感じ。
もうそのモードに入っているのがわかる。
つまり、ついさっきまで「ナイーブ中学生の修学旅行」だった空間に祈祷師が現れたという状況に。
奈良さんが Aさんに「どれ?」ときく。
Aさんも静かに何かと交信して、でもにこやかに
「全部です~まぁすごい。さすがですね(にやり)」
という。
「え?なにがどう?なになになに?」って聞きたいことだらけだけど、そういうことを聞ける空気では、ない。
黙る。Fくんも。
玄関先で黙ったまま動くことができない。
立たされている生徒のようにも見える。
奈良さんは部屋の中にはいっていって、マントラ(呪文)みたいなやつを唱える。
そしてその場に立ったまま、回転しつつ、手にもっている聖水を部屋にふりかける。
その聖水は立っているワタリにもかかる。冷たい。でも何も反応できない。反応しちゃいけない空気がすごい。
さっきまでとの温度差。この緩急。
ナイーブ中学生の修学旅行から、いきなり聖水をふりかけられる状況。
危ない。とても。下手すると「笑っちゃいけない」状態に。
そうなると、笑ってしまいそうになる。
笑ってしまって、チャラー!と効果音がなって、
「ワタリ、アウトー」
とアナウンスされて、ババがやってきてワタリのケツを蹴る。
そんな妄想が始まる前に、そんなモードになる前にオモシロ自分をできるだけ遠くのほうに追いやる。意識のトレーニングだ。
しかし、聖水をまいたあとにはその「笑っちゃいけない」という意識はなくなっていた。
奈良さんが「うんうん。そうか」と独り言(じゃなく交信と思う)を言い、Fくんのそばにいって、Fくんにしか聞こえない声でなにかを伝えている。
なにか、メッセージを伝えてくれている。
そしてワタリの方にもきて
ワタリにしか聞こえない声でこういった。
「理不尽だと思ったらやめてもいいよ」
・・・え?
この言葉はインドから帰ったあとも残っていて、のちにまた答え合わせすることになるんだけど、それはまた別の話。
このときは、え?なんなんだろう?って思う。
聖水撒き終わって「失礼しました」と出ていく。
ドアが閉まる。
「危なかった~」と Fくんとまたナイーブ中学生になってシェアする。
Fくんと完全に友達になった日。
そのあとはそれぞれの時間を過ごして、Fくんはシャワーは明日するといって、ワタリだけが入る。
昨日の夜中にワタリを通じてババがFくんにリアクションしたみたいに、今日、ババが Fくんを通じてワタリに何かいってくれればいいな~なんて思いながら、ババの本を少しも読めずに寝た。
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