即興ライブ「玄天改軌」に納得がいかない男・小田篤史が訴えたいたった1つのこと

ロクディムの動画の中でまた新たなる傑作ができました。

「今は動画見れないのよ。そういうタイミングじゃないのよ」

そんなあなたは以下のテキストでお楽しみくださいませっ。

それは原点に帰れなかった男の叫び

「1つだけ言いたいことがあるんです」

それが良いことなのか悪いことなのか判断できないような声色だった。

ロクディム編集部に電話をかけてきた声の主は小田篤史だった。

絶賛発売中のロクディムライブ「玄天改軌」に対してどうしても言いたいことがあるから東京タワーの下にきてほしい。

わけがわからないが、無下にするわけにもいかないだろうということで、時間を見つけていくことにした。

夕暮れ時、玄天改軌のときの衣装を身にまとった小田篤史は公園のど真ん中で身体をほぐしていた。

「お疲れ様です~」

その表情と声色からもまだ判別つかない。

いったいなんだろう?なんだかまどろっこしい。

辛抱強く話しを聞いていくと1つの言葉が出てきた。

「映ってないでしょ」

どういうことなのか?最初わけが分からなかった。

わけが分からないということにたいしてわけが分からないという顔をする小田篤史。

そのあとの説明でようやっとわかった。

彼が言いたいのは

玄天改軌ライブの最後のシーン。

ロクディムがバンドとしてありったけのエネルギーで歌う場面。

そこでダンスを担当している小田篤史が

ほとんど映っていないという。

確認するとたしかに映っていない。

いや、編集してるので知っている。

そう、彼は映っていなかった。実に見事に。

撮影時にしっかりとカメラから外れていないように現場では見切れる部分にテープを貼っていた。

だからうっかり見切れることはない。はずなのだ。

「バミリましたけど」

と伝えると小田篤史は

「枠からはみ出ようというテーマがある」という。

じゃあ良いじゃないか?というと「そうじゃないでしょ」となる。

どういうことなんだろう?とさらに耳を傾けた。

そこでわかったのは

「枠をはみ出ていこうというのは結果を観てそういっただけで、本当に思いっきりうっかりカメラから見切れていた」

ということだった。

その「うっかり」を完全に棚にあげた状態だからこそ、なんだかまどろっこしい言い方になっているんだなと理解した。

その上でさらに小田篤史は

「ここで自分だけのPVを撮ってほしい」という。

ここまでくるともう暴挙を超えて気持ち良い。

「絶対に撮らないと相手取る」

彼の眼からはしっかりとメッセージが出ていた。

「バミった」ということを何度も伝えるが彼の鼓膜を震わせることはできなかった。

すったもんだあり、東京タワーの下で小田篤史1人の「玄天改軌」PVを撮ることになった。

大事な時にいっさい映っていなかった。

その悔しさが彼の集中力を最大限に引き出した。

全力。動きのキレ、半端なし。

クロコダイルで見せた動きを凌駕した。

そして後ろの東京タワーも美しかった。

ただ、日が完全に落ちてしまってまたしてもほとんど映ってないことをまだ彼には伝えていない。

しばらくはデスクにかかってくる電話はでないようにしようそうしよう。

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ABOUTこの記事をかいた人

即興遊戯者/インプロバイザー・渡猛(Takehi Watari) 奄美大島生まれ兵庫県育ち。 即興芝居×即興コメディ=即興エンターテイメント集団「ロクディム」共同主宰。 即興で演じ、歌い、踊る1人芝居ライブ「ヒトリワタリ」を全国展開中。 ブロードウェイで最もロングランした1人芝居「Defending The Caveman」を初アジアバージョンとしてハリウッドキャスティングディレクター奈良橋陽子監修のもと、2年間公演を行い好評を得る。 即興(インプロ)ワークショップ「ワタリーショップ」を都内で定期開催。 大学や企業でも即興ワークショップを通して「この瞬間を目一杯感じて、自分を愛し、無我夢中に遊びあい、交ざりあい、笑いあう人間関係を育む場」を提供している。 京都精華大学非常勤講師。