ロクディムALIVE_012〜覚悟のうえで、即興で、コメディすること

「ロクディムALIVE」はワタリがロクディムの歴史を振り返っていく「完全主観ノンフィクション小説」です。
その想いや前回までの話しはnoteのほうに書いてありますので是非みてやってください。

最初の奇跡

ロクディムの初めての福島公演は2011年6月26日に開催した。
会場は「バロウズ」というライブハウス。
予約は3名(すべてカタヨセの親戚)。
「まだまだ震災の影響があって全然落ち着いてないし、仕方ない。まずは「やりたい」で来たんだから、とにかくその3名の前で思いっきりやろうよ」
そんな話をしたのを覚えてる。
それがどうなったのか?その昔のワタリが動画にしているので見てやってほしい。

飛び込みで来た方が60人て!

3人来るという世界からいきなり行列ができてる状況にただただ笑うしかなかった。

会場の盛り上がりも、その後の感動しているロクディムも、打ち上げで泥酔してる小田篤史も動画で見れる。なんて良い動画なんだ。ぜんぜん見られてないけどw

笑顔のお客さんからの感想で「今の福島」を実感する

終演後「今日はゆっくり眠れそうです」と感想をもらう。
ハッとした。わかってるつもりだったけどわかってなかった。
いまは非常時なんだ。ゆっくり眠れる世界じゃないんだ。というリアルをここでようやっと感じることになる。
会場にくるお客さんはみんな楽しみにきてる。悲壮感もしんどい顔もない。だからこっちも気にせずにやれていた。
でもこういうひと言にたくさんの感情がはいっている。
頭で理解していることは、このリアルの前ではなんの意味もない。じっさいに触れないことにはわからない。わかってるつもりになっている自分が恥ずかしいという気持ちにもなった。

そしてそんな環境にいる人たちに僕らがやっているエンターテインメントが少しでも届いて貢献したんだ、ということも嬉しく、ありがたく、いろんな感情が入れ混じって、心が震えた。

命がかかった公演を開催したこと。それがツアーの「はじめ」だったこと

改めて書いてみると、この公演はその後に続くロクディムのツアーと少し意味合いが違う。
その後に続くメンバーの地元でやろうぜ!っていうものとも違う。

大袈裟な言い方に聞こえるかもしれないけど、このツアーには多少なりとも「命」がかかったものだった。それは前回の記事に書いたように、放射能がどんな影響になるのかまだわからない、また大きな余震がいつくるのかもわからない、間違いなくリスクがあった。それを込みでカタヨセヒロシが皆に「やりたい」と言って、皆が反応した。
万が一のリスクを想像した上で、そうなっても構わない。いく!やる!と覚悟した。

ロクディムジャパンツアー・プロジェクトの最初の一歩はその覚悟からはじまっている。
これがそんな状況でなかったら。災害がなく、命もかかっておらずの公演だったら、その後の展開も大きく違っていたようにもおもう。

覚悟のうえ、即興で、コメディをする。

何がくるのか?何が起きるのか?先がまったくわからない状況の中で、その想定外を受け止め、笑ってまた動く。これからの世界と自分たちのやっていることが少しずつリンクしていくような感覚もあった。
もちろん失敗もする。でもそのあと皆で全力で修正する。あぁ言葉にするとなんと簡単なことか。
今まで即興芝居の理念だったものを、人生で実践するという世界になった。この失敗とどう向き合い、どう修正するのか?についてはこれからのアライブでもどんどん出てくる気がする。きっと。たぶん。

ABOUTこの記事をかいた人

即興遊戯者/インプロバイザー・渡猛(Takehi Watari) 奄美大島生まれ兵庫県育ち。 即興芝居×即興コメディ=即興エンターテイメント集団「ロクディム」共同主宰。 即興で演じ、歌い、踊る1人芝居ライブ「ヒトリワタリ」を全国展開中。 ブロードウェイで最もロングランした1人芝居「Defending The Caveman」を初アジアバージョンとしてハリウッドキャスティングディレクター奈良橋陽子監修のもと、2年間公演を行い好評を得る。 即興(インプロ)ワークショップ「ワタリーショップ」を都内で定期開催。 大学や企業でも即興ワークショップを通して「この瞬間を目一杯感じて、自分を愛し、無我夢中に遊びあい、交ざりあい、笑いあう人間関係を育む場」を提供している。 京都精華大学非常勤講師。