【映画感想記】ブログを書くことはとことんおバカちゃんな自分と向き合うことなのだと、映画「素晴らしき世界」鑑賞

二子玉川の映画館に朝イチでいって「素晴らしき世界」をみる予定は無残にも敗れ去った。

超大型巨人ならぬ、超夜型人間ワタリは起きることができなかった。

リスケするか?と思ったが、昼から新宿でやっているから行くことにした。

新宿ピカデリーは久しぶり。と書いた途端に気づく。行ったことなんやん、と。

唯一ある記憶は、その昔、北野武監督の映画が公開されて新宿ピカデリーで舞台挨拶にたけしがくる!っていう情報を聞きつけて行ったけどもういっぱいで入れなかった。

あの時はきっと今みたいにキレイな映画館じゃなかったと思う。(行ったことないくせになぜかディスる)

ただディスるなんて良くないと思って調べてみたら2008年からいまのキレイな状態だったという。えーじゃあ気のせいかな。本当に記憶というのは曖昧なものよ。いや、お前がな!ピカデリーに謝れ!と自分に突っ込む。

なにはともあれピカデリーへ。

あまり好きじゃないからできるだけ新宿にいかないようにしてるけど、移動してみると近い。家からの移動も含めて30分ほどでついてしまう。

でもそれよりも行き方ややこしくても二子玉川のほうが好き。

緊急事態宣言明け、初日。平日の昼の新宿。人が!・・多い・・のかな?
もうそんなに行ってないから平日の新宿の比較もできない。はい、ここまでのワタリの思考、なんと無駄なことか。ありもしないことをつらつら考えたり思い込んだりしてる。なんか考えたり、判断したりしたいのかもしれない。

ピカデリーはキレイ。しかし映画館の中は人がまぁまぁいて、壁際に並べられてる椅子に人がたくさん座っていた。立ったまま案内時間がくるまで待つ。まぁ落ち着かない。

これが人が少なかったらどうか?もしかしたら「良いね。新宿も」なんて思うのかもしれない。やはり人の多さがストレスなんだろう。

案内時間になって、チケットを見せてエスカレーターであがっていく。

「え?天空まで?」っていうくらい上にあがる。(いつもいく二子玉川だと上にあがらないからよけいにそう感じてる)

都会、スペースがないから上に伸びるしかないの。ダイバーシティなの。
なんて言葉がでてきたけど「ダイバーシティってなによ?」「え?超高層ビルがひしめき合ってることなんじゃ?」っていう自分に「ちがうと思う!」とツッコミ調べる。

ダイバーシティ(Diversity)は、「多様性」や「相違点」という意味を持ちます。経営用語として用いる場合には「個人や集団の間に存在しているさまざまな違い」という解釈になります。 ダイバーシティの対象には、年齢・性別・国籍・学歴・職歴・人種・民族・宗教・性的指向・性自認があります。

【解説】ダイバーシティとは? なぜ日本企業は徹底すべき? 企業事例8選

もうすごい間違えてる!ウルトラおバカちゃんじゃん

自分の考えてることを文字にしたらこんなにおバカな自分にも出逢えるなんてね。ありがとうね。ブログさん。

さて、「素晴らしき世界」鑑賞したよ。

ここからは映画「素晴らしき世界」のネタバレ内容です。「ネタバレは絶対嫌!ねぇ・・嫌なの!」という方は華麗なるスルーを!

結論からいうと、マスクの下がグッチャグチャになるほど涙と鼻水ダダ漏れ状態になったよ。

ドキュメンタリー?っていうくらいリアル。なのにちゃんと映画。

役所広司さんってどうなってるんだろう?樹木希林さんと同じくらいどうやってるのか分からないレベルの演技。

冒頭の刑務所のシーンですぐに主役の三上のキャラクターがわかる。

三上はまっすぐで頑固な男。13年服役していても殺人についての謝罪はない。

ちゃんとしたレビューは他のブログでたくさん出てくるだろうから、ワタリが個人的に忘れたくないシーンをメモるね。

出所したての三上が引受人の自宅ですき焼きを食べるシーン。テレビには親が我が子を里親に出すニュース。そこで身元引受人と意見が合わない。子どもを捨てた人の気持ちを理解しようという気もない。それは三上自身が施設に預けられたという背景なのがすぐに分かる。そのうえで「おかわりは?」と言われた直後に号泣する。あの演技。

この映画全般にいえますが、役所広司さんの泣き所がとんでもない。

幼少期にいた施設にて、会いたかった母親の情報がもう探せないとなったあと、当時オルガンを引いていた人と、一緒に歌を歌うシーン。

そのあと、子どもたちとサッカーをしてシュートを決めた子に抱きついたあと、そのまま泣き崩れてしまうシーン。

ラストの知的障害の同僚からコスモスの花をもらった時の涙。

涙がすごいって言ったけど、それだけじゃもちろんない。

ドキュメンタリー番組のディレクター扮する仲野太賀氏に電話越しに痛いことを言われて電話を切る三上。

そのあと立ったままカップ麺を一瞬すするも怒りが爆発し、カップ麺を叩きつける。というかね、終始すごいの。ずっと感情がブレまくり爆発しまくり。

いつ糸がきれてもおかしくないという緊迫感がずっとある。

仲野太賀氏の走るシーン。
先頭で三上の背中を流しながら「もう戻らないでくださいね」って伝えるシーン。
死んだ三上にむかって「三上さん!三上さん!」と何度も叫ぶシーン。とっても良かった。

スーパーの店長兼町内会長役の六角精児さんも最高だった。
テレビにでることになると浮かれている三上さんにたいして「食い物にされてるとしか思えない」と注意するも激ギレされる。
しかし「今日、三上さんは虫の居所が悪いんだね。また今度話そう」と言う。
こんなことを言える強さと優しさ。
また仕事がきまった三上にお金を渡す。あれは責任感をもたせることで、もうヤクザの道に進ませないようにする想いからだよなぁ。その優しさに涙。

ヤクザの妻役のキムラ緑子さん。
お世話になる予定のヤクザ邸に警察がくる。それを発見し走って警察のところに飛び込もうとする三上を途中で止める。まぁ、全力で止める。

「これが最後のチャンスよ。カタギの世界はつらいけど、空が広いっていいますよ」下手な人がやったらここで映画のトーンが台無しになってしまうくらい難しいシーンと感じる。それをもう見事なバランスで演じられている。うまい!と唸った。

三上が免許を再取得するため、車の教習所にいく。自信があった運転がことごとく駄目。あの焦っていく様子が見事。
ダスティン・ホフマンの「クレイマー・クレイマー」で子どもに朝ごはんをつくるが全くうまくいかずにキレてしまうシーンを思い出した。
それくらい本当にその場で感じているように見える強烈な演技。

長澤まさみの「撮影しないんだったらケンカ止めに入れよ!止めないんだったらカメラ回せよ!何逃げてるんだよ!お前みたいなやつが1番駄目だ!」って叫ぶあのセリフがよかった。

あと、前妻の家にいったら、「どちらさまですか?」と学校帰りの子どもが現れる。
とっさに「お父さんの友だちだよ」と言い、その場を去ろうとするも振り返り「いま何年生?」と聞く三上。「小学3年ですけど」と言われ、自分の子どもじゃないことを知ったときの三上の顔。秀逸。あれはなんて感情なのか名前が見つからない。とにかく胸が苦しくなった。

映画はナレーションで終わっていく。

出所した人の半分が、社会に適合できず、また反社に戻り、刑務所に再びはいってしまうという。

刑務所の中の更生プログラムって進化しているのだろうか?
社会の変化に合わせて(受刑者を社会で生きていけるように教育をし直すことが目的であれば)プログラムはいつも進化・変化していかないと結局また犯罪を犯して戻ってきてしまう。この悪循環。

三上のセリフにも「あそこは気を使わなくていい分、楽だ」っていうのもあった。
また「刑務所なら喧嘩したら必ず止めてくれる。てもここ(社会)は止めずに無視され、また罪を犯してしまう」みたいなセリフも印象的だった。

なんとか社会復帰したい。人生をやり直したい!と思っても、どうにもできない世界。「素晴らしき世界」。

もっと良くするために何ができるんだろう?って考えるきっかけになる映画。

あと仲野さんが三上にむかってガー!って突っ込んでいったけど、「お前に何がわかる!」と電話を切られ、反社に電話。そこで優しくされる。自分のことをわかってくれる人がいたら、そこに行きたくなるよね!っ思う。でもどっちが良いのか?どっちも悪じゃないんだ。本当の優しさってなんだ?

どこの世界にもいい面と悪い面がある。辛いこともある。その時に優しくしてくれる人がいる(奇跡的に誰も優しくなかった彼はJOKERになった)。
自分がどう生きたいか?で大きく受け取り方が変わる。優しさは偽善としか感じなくなる。そこでぶつかったり、離れたりする。でも、それでも関わろうとする人たちの強さ優しさ尊さ。六角さん、引受人のお金の工面。「あなたを書きます」という仲野くん。キムラ緑子さんの全力の引き止め。

普通にいきることがこんなに大変で難しい。

弱者はとことんダメになっていくこの世界。

最後は広い空に黒字で「素晴らしき世界」。

言葉にならない感情で、涙を吹くこともできずしばらく動けなかった。

なんでもかんでも妄想したり思い込んだりするワタリのような人間も、もう一度人生をやり直したい!って強く願う人も、人間がもっと地球と共存して活き活きと生きられるような世界を他人任せじゃなくつくっていきたいよ。ねぇダイバーシティ(きっと使い方まちがってる)

ABOUTこの記事をかいた人

即興遊戯者/インプロバイザー・渡猛(Takehi Watari) 奄美大島生まれ兵庫県育ち。 即興芝居×即興コメディ=即興エンターテイメント集団「ロクディム」共同主宰。 即興で演じ、歌い、踊る1人芝居ライブ「ヒトリワタリ」を全国展開中。 ブロードウェイで最もロングランした1人芝居「Defending The Caveman」を初アジアバージョンとしてハリウッドキャスティングディレクター奈良橋陽子監修のもと、2年間公演を行い好評を得る。 即興(インプロ)ワークショップ「ワタリーショップ」を都内で定期開催。 大学や企業でも即興ワークショップを通して「この瞬間を目一杯感じて、自分を愛し、無我夢中に遊びあい、交ざりあい、笑いあう人間関係を育む場」を提供している。 京都精華大学非常勤講師。