羽田空港で起きたビッグラフがダークサイドを救った話

先日福岡にいったんですね。
無観客配信のトークイベントに出演したのです。
リモートライフになり、1年はほぼ家だったワタリ。
移動も久しぶりに飛行機なるものに乗るのも嬉しい。

品川駅から乗り換えて羽田空港へ。

空港内、人はまばら。
余裕をもってチェックイン。

ゲート付近の待合椅子に座っているとロクディム共同主宰、カタヨセヒロシがやってきた。挨拶をして、ヒロシはワタリの向かいにある椅子に座った。

今日のトークイベントについて軽く話す。
すぐに機内に入れる時間になる。
CAさんが機内に入れる番号をアナウンスする。
席的にワタリが先に行くことになった。

「じゃあのちほど」

久しぶりの空港だったからか、その声は少しカッコつけた感じに響いた。
そのカッコいい響きに任せて、ワタリは足にかけていた上着をさっと取った。

そのときだった。

ポーン

とワタリのスマホが飛んだ。

上着の上に置いていたのをすっかり忘れていたのだ。
サッと上着を取った勢いのままスマホは宙を舞い、向かいに座っているカタヨセの足元に

シャーーーーーー!

と滑り込んだ。

ヒロシからしたら、ワタリが立ち上がったと同時にいきなりスマホが自分のところ目がけて飛んできたのだからビックリしたはずだ。
しかし、そこはカタヨセヒロシ。
一瞬ビクッとして目を見開いたものの、あとは声もださず、足元のスマホを見つめる。
これはすごい。なんてことだ。

ここでヒロシが驚き慌てていたら「ごめんね。驚かせちゃったね」なんて言って機内へ行けばカッコがついたはずなんだ(何判断なのかもうわからない)

しかし、カタヨセヒロシは足元のスマホを見つめたまま黙っている。
ワタリも立ち上がったまま動かない。
3秒くらいたっている。
つまり、こちらのリアクション次第ですべてが決まるってことだ。

ワタリがここで慌てたら「完璧に天然でスマホを飛ばして慌ててる42歳男子」の烙印が押される。「アー!暗闇こわいよー!!」って叫んでるヘイポーサイドに落ちてしまう。スター・ウォーズのダークサイドよりも闇と言われている場所へ。それだけは避けなければいけない。
そうなってしまったら福岡につくまでずっと赤面することになる。下手したらトークイベント中も赤面だ。

この沈黙のあとで、なにを言うか。
それで今回のツアーが決まる。
何を言えば?何を?いったい何を?
0.3秒後、ワタリの頭の中に浮かんだ言葉は

「良いスマホだから良かったら貰って」

だった。これだ。実にユーモアがある。
黙っているヒロシに勝つにはこれしかない。
スマホからヒロシの顔に視線を移動させカッコいい響きで

「良いスマホだーー」

と言いかけている途中。

ワタリの隣からカットインしていたのは

「アーーーーハッハッハッハ!」

と爆笑する声だった。

振り向くと男性外国人がワタリのスマホの方をみて爆笑してる。
セリフの途中で横を向いたせいで途中から爆笑している外国人に言う形で

「いいスマホだから・・・良かった」

となった。
外国人はワタリのほうをみてニコッと笑い。

「ノーブロークン」と言った。

ワタリは「セーフ」と言い、外国人は続いて「スライディング」といった。

このやり取りで完全に空間はライトなものになった。

イエ~。ラッキーだったぜ~。

若かりしころのエディ・マーフィのように軽快にスマホに近づき、拾い上げて
「バイ~」と外国人に笑顔をむけ、外国人も手を振ってくれた。

まったくもって意味のない緊張感だったが、ドジが思わぬ笑いをつくってくれる。そして素敵な繋がりも。

話の本丸は実はこのあと

このエピソードを1週間くらい前に書こうとしていたんだけど、あることがひっかかって書けなかったんですね。

それは「外国人」っていう呼び方。

なんか違和感があるのです。ガイジンは何年も前から言わないとなって、じゃあ外国人っていうことになっているんだけど、もうこれも違和感。

しかし、このエピソードを外国人というニュアンスを抜いて書くと、それも違和感。。なんか他に言い方あるの?調べたけどないのよね。

これを違う言い方で「隣に座っていた色白のおじさん」「隣に座っていたおそらく日本以外の国籍で日本語が第一言語じゃないおじさん」どの言い方ももう違和感。

いい表現があったら教えてほしい。

ワタリも探していこ。

Photo by krakenimages on Unsplash

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ABOUTこの記事をかいた人

即興遊戯者/インプロバイザー・渡猛(Takehi Watari) 奄美大島生まれ兵庫県育ち。 即興芝居×即興コメディ=即興エンターテイメント集団「ロクディム」共同主宰。 即興で演じ、歌い、踊る1人芝居ライブ「ヒトリワタリ」を全国展開中。 ブロードウェイで最もロングランした1人芝居「Defending The Caveman」を初アジアバージョンとしてハリウッドキャスティングディレクター奈良橋陽子監修のもと、2年間公演を行い好評を得る。 即興(インプロ)ワークショップ「ワタリーショップ」を都内で定期開催。 大学や企業でも即興ワークショップを通して「この瞬間を目一杯感じて、自分を愛し、無我夢中に遊びあい、交ざりあい、笑いあう人間関係を育む場」を提供している。 京都精華大学非常勤講師。