永遠の歯磨き

昨日は歯医者に行ったんだ。

行くちょっと前にお腹が空いたので、インスタントラーメンに万能ネギを大量にいれて食べたんだ。

出かける時間まで雑務をしていたらあっという間に時が過ぎ、あぶね!なんて言いながら、全力で糸ようじして歯磨きする。

自転車で急ぐ。

到着すると、新しい女性スタッフの人が迎えてくれた。

と、書いてて違和感があったから少し話は逸れるけど「歯医者」って正確には「歯科医院」よね。でも「歯医者行ってくる」のほうが身近よね。「歯科医院行ってくる」は言わないよね?言う?

話戻すっす。

対応の仕方からいつもよりも慣れている感じがあった。安心感があった。若いのにすごいなぁなんて思いなからいつもの先生にも挨拶する。

「先生がいらっしゃる前に歯を磨きますね〜」なんて言って椅子を倒してくれる。

タオルで顔を隠されて、言われるがまま口をあける。

一本一本非常に丁寧に磨いてくれる。

ありがたいな〜、でも治療でなく歯を磨いてもらうなんて、赤ちゃんの時以外なかなかないよなぁ。なんて思ったら少し恥ずかしい気持ちに。

そんなヨコシマにも近い気持ちになった時、歯科衛生士の手が止まった。

・・?

手が口から離れて違う器具を取る音がした。

なんだ??

そう思った矢先、ワタリの歯と歯の間に違和感。

何かがスッと取れた感覚があった。

・・は!!

ああ。

ああああ。

なんてことでしょう。

スッと取られた感覚から、ワタリは悟ったのです。

間違いなく歯と歯の間に万能ネギが挟まっていたことを。

抜き取られたときの感覚。間違いありません。

エイリアンよろしく、残っていたんです。絶滅したと思っていたら生き残っていたんです。

さっきまでワタリの食事を彩っていてくれた万能青ネギーが。

古来より日本では「歯に詰まったものを人に見せるべからず」という文化がある。

爪楊枝なんかはその象徴であって、江戸時代より「あいつぁ、いつも歯に何か詰まってやがる。あんなもの見れられたら出世しねぇよ。おい、あれだあれ持ってきてくんな」なんてプレゼントとしても活用されていたという(適当)

とにかく恥ずかしい。

「あ・・この人、さっきまで青ネギ食べてたんだな」

なんて思われているのかもしれない。

そう思って、思わず極めて明るく

「あれ??もしかして青ネギでちゃった?いや〜あとで食べようと思ってね。わざと。わざと挟んでおいたんだけどな〜」

なんて言いたい衝動がとんでもない。でもそれしたらもっと墓穴を掘るのを知っている。

または

「青ネギ食べてる途中でしょうが〜!!!」

なんていきなりキレる。それくらいやったら向こうもパニックになってなんか混乱の中でうやむやになるのかもしれない。

そんなことを思ったのとほぼ同時にもうひとつの恐怖がワタリを襲う。

もしかしたら・・まだ他の歯にも青ネギが詰まっているのかもしれない!!と。

まだ磨き始めて2本目くらいの歯ででちゃったわけで。

父さん・・・僕は・・・こわいです。

なぜな北の国から的ナレーションが聞こえてくる。それほどの恐怖がやってきている。

2本ごとにかならずネギが挟まっている可能性だって0じゃない。

そんなことになったらどうしよう。耐えられるわけがない。

「はい〜では続けますね〜」

どこかにネギを処理したであろう歯科衛生士が続投宣言。

そのネギはどこにやったんだろう?

ゴミ箱なのか?それとも器具があるトレイに置いてあるのだろうか?

抜けた歯を見せるように「はいっ。こんなのが詰まっていましたよ〜」なんてあとで辱められるのかもしれない。

そんなことを考えている間に歯磨きは開始されていた。

上の歯がどんどん磨かれていく。

(ゴシゴシ)ああ・・ネギよ・・・(ゴシゴシ)頼むから(ゴシゴシ)あらわれないでくれ。

頼む・・あ、手が止まった!え?なに?あ、また開始された。。やだ、、え、、

もうその自意識で自分の顔が真っ赤っ赤になっていることがタオル越しに分かる。

いま終わって「はい。終わりましたよ〜」なんてタオルを取られたらなぜかとんでもなく赤面しているおじさんがいるなんてもうやばい。

落ち着け。とにかく落ち着くんだ。

抜くのはチカラだ。ネギじゃない。

「はい。お疲れ様でした〜」

永遠に感じられた歯磨きが終了したころ、ワタリは真顔に成功した。

何事もなかったかのように先生がきて、治療。

しかしお会計の時、耐えられず先生に報告。

「新しく入った人に歯を磨かれた時にネギか挟まっておりました」

先生はパッと弾けるように笑ったあとに

「大丈夫です。そういうのも受け止めるのが歯科衛生士ですから」

と言った。

かっけぇ。

歯医者って、歯科衛生士ってかっけー!

俺も「かっけー!!」って言われる即興遊戯者になろう〜。

Photo by Hike Shaw on Unsplash


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ABOUTこの記事をかいた人

即興遊戯者/インプロバイザー・渡猛(Takehi Watari) 奄美大島生まれ兵庫県育ち。 即興芝居×即興コメディ=即興エンターテイメント集団「ロクディム」共同主宰。 即興で演じ、歌い、踊る1人芝居ライブ「ヒトリワタリ」を全国展開中。 ブロードウェイで最もロングランした1人芝居「Defending The Caveman」を初アジアバージョンとしてハリウッドキャスティングディレクター奈良橋陽子監修のもと、2年間公演を行い好評を得る。 即興(インプロ)ワークショップ「ワタリーショップ」を都内で定期開催。 大学や企業でも即興ワークショップを通して「この瞬間を目一杯感じて、自分を愛し、無我夢中に遊びあい、交ざりあい、笑いあう人間関係を育む場」を提供している。 京都精華大学非常勤講師。