【ワタリの雑談】ふいに言われた言葉に脳が揺れる。果てしない5メートル先に夢見る笑顔。

20190217(日)

この日は、先日開催した「浅草六笑」の広報企画で浅草に行ってPV撮影した。

被写体はロクディムのWEBの情報を見て、来る人。

予約もなく、待ち合わせ場所にいるワタリを捕まえてもらい、その人の写真を撮るというなかなかのガテン系企画。

しかも、この日のワタリはとっても体調が悪かった。

痰と咳。そして声がでない。カスカス声。

浅草について、浅草寺横の休憩所にて腰を下ろす。

びっくりしたことに携帯のパッテリーがあと70%もあったのに一気に落ちた。

携帯の体調も最悪。

仕方ないのでパソコンを取り出して充電したりする。

2月の浅草。風も強くどんどん体を冷やしてくる。

「これは外だと厳しいぞ・・・まだ誰も来ないだろうし・・ちょっと温かいものでも食べに・・・」

と思った刹那。

「ロクディムさんですよね?」の声。

かなり分かりづらい中、マスクしているワタリを見て「きっと・・・ロクディムの人・・・よね」と恐る恐る声をかけてくれたのであった。

心身ともに冷えかけていたワタリ。

嬉しくて話す。が、やはり全然声がでない。

「風邪ですか?」と聞かれる。それに「喋りすぎで・・声かれちゃって(カスカス)」と答える。

うまく会話ができず、向こうも「ふふふ」というハニカミ具合とワタリの「へへへ(カスカス)」という相槌にもなっていない相槌のやり取りがそう長く続くわけでなく、とにかく写真を撮ろうってことになった。

その時であった。

「あ、面白いこと言ってください」

まだ関係が和らいでいない中で、カメラを向けたということもある。

また

ワタリ「笑顔とあと、変顔が欲しいんです〜(カスカス)」

と言ってしまったのも多いにある。

そのワタリへの返答が

「あ、面白いこと言ってください」

だった。

電光石火のカウンターパンチ。

満身創痍のワタリが何気に出したセリフへのフルスイングの言葉。

一瞬記憶が飛んだ。

気がつくと膝が震えていた。

声が出ないのに・・面白いことを??

いや、声がたとえ万全に出ていたとしても・・・。

「面白いこと言ってください」

に対しての返しにうまく答えられるのかどうか。

「わ〜!やっぱり面白い!」

となる未来が遠い。砂漠の中見える蜃気楼くらいおぼろげで遠い。

「え??うそ・・全然面白くないですね」

という未来がとてつもなく近い。実家に帰った時に聞こえる隣の部屋の弟のいびきくらい近くて、臨場感がある。

そして、彼女は5メートルくらい離れている。

声がでないワタリの声が届く可能性も、ほぼ0。

とてつもなく遠い5メートル。

マスクもしていて顔も半分隠れていて、カメラを持っていて両手もふさがっている。

そして躊躇している時間も0。

マスク外して変顔?5メートルは埋まらない。

顔でもなく声でもなく手でもない・・・。

なにか・・・なにか・・しないと!!

考える間もないワタリが取った行動は

「じゃあ動きで!(カスカス)」

なんて言いながら

体をくねくね動かして

「撮れないじゃん!へへへへ!(カスカス)」

って言っていた。

先に自分から笑うという卑屈なまでの技まで使っていた。

その声は果てしない5メートルを超えたのか?

蜃気楼のようにゆらゆらしていた彼女の表情はさっきと一ミリも変わらなかったのか、少し笑顔になったのか、もうゆらゆらしていてはっきりとは確認できなかった。

ただ、はっきりと感じたのは、ワタリの顔が真っ赤になっていることと、

浅草の冷たい風が急に心地よくなったこと。

そこから何か吹っ切れたワタリはカスカスの声も気にせず、フルスイングで話ししていた。

そしたら、関係が和らいだのか、少し固かった空気が流れ始めた。

その後は会話をしながら、その流れで素敵な笑顔を撮ることができた。

体調悪いからセーブしていたのな。

終わって気づいた。

なにごとも本気で。真摯に。そうなのよね。

撮影が終るころ、体調悪いワタリを助けるためにカタヨセヒロシが到着した。

その助けに乗って、その後の日が落ちるまで続く撮影は順調に進み、終わった。

参加してくれた皆様。改めまして、本当にありがとうございました!

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ワタリのワークショップ「ワタリーショップ」は都内で定期開催。
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ABOUTこの記事をかいた人

即興遊戯者/インプロバイザー・渡猛(Takehi Watari) 奄美大島生まれ兵庫県育ち。 即興芝居×即興コメディ=即興エンターテイメント集団「ロクディム」共同主宰。 即興で演じ、歌い、踊る1人芝居ライブ「ヒトリワタリ」を全国展開中。 ブロードウェイで最もロングランした1人芝居「Defending The Caveman」を初アジアバージョンとしてハリウッドキャスティングディレクター奈良橋陽子監修のもと、2年間公演を行い好評を得る。 即興(インプロ)ワークショップ「ワタリーショップ」を都内で定期開催。 大学や企業でも即興ワークショップを通して「この瞬間を目一杯感じて、自分を愛し、無我夢中に遊びあい、交ざりあい、笑いあう人間関係を育む場」を提供している。 京都精華大学非常勤講師。