ワタリが1年間関わったプロジェクト。IMPRO KIDS TOKYOの講師たちによる即興ライブが終演しました。

紹介と、ことの経緯をざっくりと

IMPRO KIDS TOKYOという団体があります。

IMPRO KIDS TOKYOはインプロ(即興演劇)を応用した子ども向けコミュニケーションWS・学校訪問事業です。

その代表のひとりである我妻麻衣氏(以下、マイキー)から「講師たちに向けてのwsを毎月やってほしいんです。そして最後は発表会でのディレクションもお願いしたいんです」と依頼を受けたのが1年前。

少なからずワタリも教育の現場にいるし(京都精華大学非常勤講師)、日々「小学校から即興の授業があったら良いのに」と思っているので即決。

話し合った結果。

オンラインもリアルもまじえて、月に1回のws。
それを1年間開催。
最後の月は2日間集中ワーク。
最後はアトリエ第Q藝術にてライブ。

という流れがきまり、開催し続けました。

その全てが先日終了しましたのでその感想記を書きます。

やりながら直面したり思ったこと

終わって振り返ってみると、1年間よく悩んでたなぁ〜という感覚があります。

「月に1回だと埒が明かない」

そう思ったことも1度ではありませんでした。

ただ全員のスケジュールのこともあったし、ワタリも全国いろいろ動いていたから月イチがやっとでした。(※時には地方からオンラインで開催したり)

悩んだのはそういうスケジュールのことだけではなく。

ワークの内容に関しても「最終的にライブをする」というラインにワークがあるようにもっていけていない感じがありました。
参加する人たちの言動から感じることもあったし、ワタリ自身がこの企画をうまく捉えられていなかったのもありました。

悩むたびにマイキーと「なんのための企画なのか?」「皆にはどういうふうに伝わっているのか?」「どうすれば??」と話し合い、つどつど修正していきました。

それが結局、自分たちがやっていることの明確化・言語化につながっていきます。

ブレイクスルーは突然に

そんな試行錯誤が最後の2日間の集中ワークに響いた。

きっかけはなんだったのか?正直なところわかっておりません。

月に1度の関わりなのか?年末の話し合いが聞いたのか?最後の2日間で朝から夕方までみっちりやったからか?一緒にご飯を食べたからか?本番が直前だという自覚からか?その全部なのか?

わからない。わからないけど、最後の稽古の日に皆がオープンになって語りはじめた。反省や明日のライブへの意気込み。いまどんな状態なのか?を1人1人聞く時間になった。

ワタリ的にはそこではじめて皆で手をつないだ感覚があった。(正確には年末の稽古から始まっていたけど)

それと同時にライブも良いものになるという予感が生まれた。

即興のライブは、なによりもメンバー同士の関わりの強さや深さがものをいう。

それぞれが1人で立って、その上で皆で良いも悪いも一緒に体験しよう。
やったことの結末を一緒に引き受けようという姿勢や覚悟。

最後の日にそれを感じられた。

本番当日に起きた悲劇

アトリエ第Q藝術はワタリもたいへんお世話になっている劇場。

会場の早川さんや高山さんがあいも変わらず尽力してくれた。

皆が集まって挨拶をして仕込み。

平台を重ねてひな壇を作っていく。

「できるだけ出演者の負担を減らしたい」

そんな想いがワタリにあったので率先して軍手をして平台を持とうとかがんだ

その刹那

ピッ

背中から音が聞こえた。

このあとに響くのは「キーン」だ。よく言うやつだ。あれの「ピッ」だ。

そう感じた瞬間にかがむことを止めた。

反対側で平台をもっていたマイキーがキョトンとしている。

ピッからマイキーのキョトンまで。わずか2秒くらい。

この間に浮かんだ映像は

ワタリがその場にへたり込んで救急車で運ばれる。
せっかくいい空気になっているのに完全に水を差した空気に。
変わりの人を呼ぶのか?それともタンカーに乗ったまま本番をやるのか?そんな議論がうまれる。
そんなことは絶対に嫌だ!

と、いうことで「軍手してるのに全然動かない大御所」という最悪に嫌な奴になりながら指示だけ出していった。

とにかくストレッチに専念。

ピッで止めたおかげで鈍痛だけで収まった。

仕込みもリハーサルも順調に進んで休憩する時間もあった。

即興の未来を感じるライブ

お客さんの半分は小学生。

開場時からにぎやか。

本番がはじまってもにぎやかw

90分は長いのでは?と思ったが、最後まで集中して見ていたし、ステージにむかって突っ込んだり質問したり。となりにいるワタリに話しかけたりと楽しんでいた。

その声に反応しながらもプレイヤーたちはチャレンジしていたし、楽しんでいた。

ワタリもディレクターというなかなかやらないポジションにチャレンジ。これがまた新しい視点で、その視点や立ち位置だからこそ言えることがあって、うまくいかない瞬間も含めて大変良い体験だった。

全員でこの瞬間が良いものになるように自分を投げ出していく。

子どもだけでなく親御さんも「なんでこんなに面白いのか・・!」とはじめての即興体験に戸惑いながら爆笑していた。

全部の物語が終わってカーテンコール。

ステージからマイキーが

「いつか劇場で即興やってみたい人~?!」

と子どもたちに問いかける。

何人かの子どもが勢いよくキラキラした眼でまっすぐに手を上げた。

自分でもびっくりするんだけど、その眼の中に飛び込んできた映像に泣きそうになった。

ワタリが上京した18歳のころ。即興が日本にきてまだ3年くらい。まったく知られていないものだった。

それがいまは小学生が即興のライブを見て「いつか自分もやってみたい!あのステージに立ってみたい!」ということになっている。

あの好奇心に満ちた眼。

インプロと演劇とか何が違うの?っていうような小賢しい世界じゃない。

なんでも良い。あの世界に行きたい。参加したい!という熱。

まっすぐに挙げられた手からそれを感じて、涙が出そうになった。

IMPRO KIDS TOKYOは子どもたちに即興を伝えていく団体。

講師は子どもたちに即興を教える。
その講師たちが即興の本番がないのはダメだ。ただの知識にしかならない。
子どもは教えられたものにならない。見たものになる。
だから教えている人は体現者じゃないと。
そんな想いを行動に。今回のライブがそれだった。

普段いっていることを体現しているのか?そんなプレッシャーもきっとあったと思う。

そんな中、一生懸命ステージで即興をしていた。

自分にも子どもにも応えようと飛び込んでいく即興だった。

お客さんもたくさん笑う良いライブだったと思う。

ここからがスタートライン

ライブが終わって、皆で振り返り。

みっちりやるともう3時間とかあっという間だから手短に。

そこでも思考の癖などを見ていく。

ギリギリまでしつこくしつこく関われた。

わかりやすい達成感はなく、答えもない。
自分と観ている人と共演者のために。ただただこの瞬間を生きる。
自分の余計な癖が即興を妨げるときがある。
そこに気づいていくための振り返りがある。
体現するのは簡単じゃない。
答えのない道を答えのないままに楽しく歩くことができるのか。
意味とか意義とか考えたらとたんに乾いたものになるよ。
とにかく行ってみようよ。味わってみようよ。
ただただ無条件に無償の愛情と熱情で、そこで起きたことを判断せずに乗っかって、着地した世界を笑い合うことができたら最高だから。

そんなバカみたいな話を真剣にして、実践していったワークでした。

こんな尊い機会をくれたマイキーに感謝です。

そしてワタリの言うことに耳を傾けてくれた皆、関わってくれたスタッフの皆さん、そして足を運んでくれた皆様に心から感謝です。

兎にも角にも1年間お疲れ様でした!!

めちゃんこ面白い即興の世界はまだまだ無限に広がっているので、ここからまた何かしら関われたらって(勝手に)思っています。

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