【俳優ブログ】聖地ポーターズ「HOPELESS」本番レポート

20190405(金)

この日はワタリが客演する舞台の本番。

上演会場は、築地本願寺にある「ブディストホール」

この劇場は10年くらい前に一度立ったことがある。

「ケイブマン」というひとり芝居をやっていた時だ。

たった1日1回の公演だったけど、とにかく色々濃厚だったのと、築地本願寺のブディストホールっていう名前がインパクトがあって覚えていた。

だからまたそこに立てるのが嬉しくワクワクしていた。

いざ築地本願寺へ。

築地の駅で共演者の女優さんと逢う。

「ワタリさんのワークショップ行きたいんですよ」

色んなところに受けにいっているらしいが、他のワークショップはゲームしてちょっと台本やって終わりらしい。

本当に?それが本当だったら本当にひどい。

そんな話をしながら会場へ。

最初の階段をあがったとき、おぼろげながら記憶が蘇る。

ここの階段知っている。

ここで公演後誰かに声をかけられた。なにか期待のある何かだった。

そして、アップスのスタッフも原始人の恰好して集客頑張ってくれた。

でも面白いくらい、ステージを見ても楽屋を見ても思い出せない。

ロビーの記憶しかない。

どんだけ一生懸命だったんだろう。

2年間やり続けたひとり芝居。

制作がとにかく慣れていない人ばかりだった。

だから、いろんなハプニングがおきた。

会場にいったら、音響さんも照明さんも「なにも聞いてないよ」なんていう状態の時もあった。

自分で舞台監督することも、そうすると、ぜんぜん余裕なく、スタッフに伝えたらもう開場。すぐ本番。90分ぶっ通しの本番。終わって挨拶して・・ってだったから、記憶していることがロビーだけという。

だからびっくりするくらい楽屋にいっても、懐かしいもなにもなかった。

たしかにここに来たのに、まったくない。

初めまして感覚。それがまた面白かった。

皆に挨拶して、殺陣通し終わったら、ゲストのワタリのためのオープニングとエンディングの場当たり。

あっという間に開場。

即興のパートをなにするか?

とにかく考える。

作品を空気を壊さずに、でも収まらずに、どこまでやるか?これがお客さんが求めているものも含めて一瞬で感じて判断していかないと、

ただただゲスト枠の人がアドリブで何かやった。

それで少しだけ他の俳優さんたちの素が見えた。

そんな程度になってしまう。

それでも良いんだけど、自分が嫌だった。

自分がやりたいことと、ここで求められていることをやる。

せっかくだから貪欲にいこうと思った。

公演は昼と夜の2回。

昼の回。

共演者だけでなく、お客さんにも絡む。

ひとまずは盛り上がったように思う。

あっという間にマチネが終わった。

ソワレまで時間があったから築地本願寺でお参りする。

空が本当にキレイ。

ここはとっても空が広くて気持ちいい。

ケイブマンの時はまったく感じることもなかった。

親鸞さんにも挨拶。

劇場に戻ると、何人かに「はけぎわ、もっとしつこくいかないんですか?」と言われる。

話をきくと、いままでのゲストがそうやっていて、笑いをとっていたという。

それを聞いてワタリは「単純にウケるっていうことがしたいわけではないんだな」という自分を知ることができた。

また、即興で関わる俳優さんが「すいません。ぜんぜん良い返しができなくて。楽屋でも説教されて〜」と伝えにきてくれた。

ウケるかウケないか?笑いを取れるのか?

それと「この瞬間を一緒に笑おう」「笑いを取りにいく」は全く違う世界。

ここでいえば、ワタリがその俳優さんの言葉を活かしきれなかったということだ。

もちろん「もっと良い返しができたのかも」と自分で考えていくのは良い。

でも、「あの返しはない」と言ってしまう関わりをきいて、なるほど、自分のやっている即興は明らかに違うと知ることができた。

その俳優さんに

「それはワタリの力不足だわ〜。他の2人の俳優さんにも関わりたいって思ってしまって、次にいってしまった。こちらこそもっと良いふうにできたわ。教えてくれてありがとう」

と伝える。

そして、意識は夜の本番に向かう。

もっとやろう。

という気持ち。

プロデューサーの酒井さんと話す。

「もっとやってもいいかどうか?」の話に、

「ロクディムっていうやつをやっていただいていいとおもいます」

という言葉がでた。

そう言われたらもう、やるしかない。

世界観が壊れるギリギリ、というよりも、融合して倍の嬉しさになるように。

どうするか?考える。時間がすぎる。

開場時間になって、ギリギリで思いつく。

そうだ。本当にロクディムライブをやろう。

お客さんに言葉を書いてもらって、それをセリフとして作っていく即興芝居を共演者も巻き込んで、その世界観の中でやる。

ワタリが演じている役のスピンオフを即興でやるっていうことを思いついた。

演出のイチロウさんに伝えると「やれるかどうか、舞台監督に聞いてみます」となり、舞台監督にも伝え、舞台監督が、プロデューサーに伝える。

全員OKだった。

OKどころか酒井さんはお客さんに配る紙を急いで作りペンも用紙してくれた。

有り難い。

ワタリはキャラクターのまま、客席にいって、話す。

お客さんもニコニコしながら、言葉を書いてくれた。

楽屋では、モニターでワタリがいきなり客席で何かをやっているのが映っていたようで、出演者がザワザワしていたという。

勘の良い共演者は、ワタリが即興をやるということを感じて、より緊張感が高まっていた。

本番。

最初のシーンで笑いが起きている。

はけてきたキャストが

「こんなに暖かいのってすごい。ぜったいワタリさんの影響がある。ありがとうございますっ。」と言われる。

本番前にお客さんと関わったことで、空間が楽しい空気になっていた。

その空気は色んなところに伝染する。

出演者の皆さんともなんだか距離感が近くなったように感じた。

「ゲストでの存在の仕方··ああいうこともできるんだって参考になりました」という言葉もでた。

皆、必死に色んなところから学ぼうとしている。

その姿勢がまた刺激になる。

ワタリの出番までとにかくシミュレーションする。

4分くらいあるかないかのなかで、しかもいきなり成立できるようにどう説明して、どうやってキャスティングして···と頭を巡らせる。

ギリギリまで考える。何回も。

いつも、思っていることの3分の1しかできない。

だから想定の三倍考えていく。

臨んだ本番は大盛り上がりだった。

想定の時間を超えたが、盛り上がっているから、音響さんも曲を繰り返し流し、即興のパートをカットするためにはいる女優さんもその空気を感じて待つ。

皆が機転を利かせ動く。

それは有り難いし、すごいことだなぁと思う。

楽屋から帰ってきた時の皆の顔が全然ちがった。

ベテランの方も「あれ、面白いね」と拍手してくれた。

自分の真ん中のものでやれてよかった。

それで駄目なら駄目で清々しく終われる。何事も全力で。

じゃないと絶対次につながらない。そう思って、今年のお誘いいただいたものは誠心誠意やろうと決めた。

ちゃんとロクディムや個人に帰ってくるように。

劇場を出るとき、ステージにいき、お礼をいう。

個人でもロクディムでも、ステージには挨拶している。

前回のケイブマンではそんな余裕もなかったが今回はしっかりとできた。

気持ちがスッとした。

飲み会。

「正直即興にはいいイメージなかったんです。でも今日みてロクディムは見にいきます。それは決まりました!」という話にもなって嬉しい限り。

帰りは酒井さんの車で経堂まで送ってくれた。車中で色々話すことができた。

酒井さんが何に喜びを感じているのか?

どういう思いでこの活動をやっているのか?

「クリエイティブでないと」という言葉が響いた。

ロクディムは演劇という枠も超えて即興という枠も超えて「ロクディム」というジャンルになっているという話もとても興味深いし、嬉しかった。

濃厚な客演経験。

酒井さん、聖地ポーカーズ「HOPELESS」の関係者の皆さん。ご来場いただいた皆様。

本当にありがとうございました!


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