即興の稽古。

「即興の稽古って必要なの?どんなことするの?」と時々聞かれることがあります。

即興で芝居をするということは、その場のノリや勢いに任せて強引に面白いことをしたり、無茶ぶりに対してただ答えるだけではございません。

また自分の面白いにこだわるだけでもございません。

今ここににいること。自分の衝動や感情をキャッチすること。それを表現すること。相手やお客さんに伝えること。コントロールを手放して影響を受けること。相手の意図を組むこと。お客さんの期待や心理を察し感じること。興味深い物語として必要なことを知り、今起きていることからそれを発想し結びつけること。心から楽しむこと。人と人の間にあるもの。人間を、人生を創っていくこと。

まだまだありますがそれらを一瞬で同時に行います。

ゆえに稽古。必須。

よく「頭の回転早いですね〜!」って言われます。

でも頭だけ回転してたら間に合わないんです。

頭で考えずに、身体全体を使って反応していく。

そういう身体や心、または意識を創っていく。

だから稽古。必須。

即興の稽古って何してるの?

その日その時で全然違いますが、基本的にロクディムでやることは、即興で芝居(基本2人でやっているのを残りのメンバーが見ている)をして、それに対して「今のはどうだった?」「あの時どう感じてた?」「見ててこう思ったよ」などと、主観と客観をシェアしていきます。

「こうして欲しかった」「なんであのアイデアなの?」

と、相手に求めるんでなく、自分の感じたことをシェアする。理解していく。

受け止めきれなかったら、どうやったらそれを活かせるか?

またはそのアイデアはどこから出てきたのか?相手に良い時間をと思っていたのか?そうじゃないところから出したのか?

今、起きていることをどこまで気づいて、どこまで大事にできるのか?

自分の常識やこだわりが優先されて、相手からのパスを巧みに否定していたりナシにしていたり、または大事にせず次の新しいアイデアを探しにいったりしていないか?

気づいたら、修正する。

時に1つ1つ細かいところまで振り返り、時に振り返らずにやり続けたり、身体に入るまでとことん繰り返します。

その中で見えてくる大事なこと。

砂金を発見するように、何回も何回もじゃぶじゃぶやって小さいながらも輝いているものを見つけていきます。

ロクディムとして体現したいことを確認したり発見していく作業。

稽古は引き出しを作るためでない。

また即興の稽古を同じメンバーでやり続けるということでイメージされるのは、「キャラ付けやパターンなどの引き出しをどれだけ作るか?」ということ。

その真逆のことをやっています。

チームでやる時、同じメンバーでやり続けると「こいつはこういうキャラ」などというレッテルを貼りがちです。キャラ付けというやつです。その方が分かりやすいということなんでしょう。

レッテルを貼って「あいつはあれが得意だから、こういうパスを出そう」なんて話し合っていくと、どんどんパターンになってしまいます。

「なんであの時ああしなかったの?」「あそこは○○が出るパターンだよね」なんて話し合いになり、求めあったり依存しあったり、人のせいにしたりして、どんどん雰囲気悪くなり、壊滅状態だったり壊滅したりした即興チームを幾度か見たとこがあります。

レッテルを貼らず、より一瞬一瞬感じていく。

より細かく自分と相手の言動をキャッチしていく。

相手の演技が完璧だとしたら、自分はどう対応できただろうか?

もっと未知なる展開はどこだ?もっと難しいところはどこだ?ドキドキワクワクできるところは・・。

それを見つめ考え、認めていき実践するのは、単純に楽しいだけではありません。時々、真っ暗(笑)今どこにいて、どこに進んでいいのか道が見えなくなる時もあります。

言いづらいことも、愛情を持ちつつ伝える。

膝突き合わせて向かい合う。大変だけど、積み重ねていきます。

さらに未知で楽しく嬉しい即興体験をメンバーとお客さんとするため。

そんな楽しくて仕方ないことを、とにかくやる。

もう1つ。ロクディムの稽古がワタリにとってとっても良いのは自分もプレイヤーとして関われること。

できない自分を「あいたたたた」と苦笑いしながら、汗かきトライできること。

年齢か経験か信頼関係か、そのどれもか、メンバーの振り返りも素直に聞けるようになってきました(笑)

その環境はものすごい大事なこと。貴重で有り難いことだなぁと感じます。

基本に立ち返る

そしていつも大事だなと立ち返るのは「基本」。

相手とどう相和するか。

何十年やってもここに立ち返る。

そこにマニュアルはなく、答えもない。

だからいつも学びがある。刺激がある。喜びがある。

やれること、できることを証明するために、互いのプライドを誇示するために稽古があるのではない。

さらに自分たちが体現したいところへ。

いけるように、できていないところに目を向ける。

それが稽古。超大事な稽古。

それはロクディムもワタリのワークショップも変わらない。

互いを見合える。そして見習える関係や空間や時間。

「ありがとう。楽しかったよ」と言い合って別れる。

先日の稽古も良い時間でした。

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ABOUTこの記事をかいた人

渡 猛

即興エンターテイメント集団「ロクディム」共同主宰。 即興で演じ、歌い、踊る1人芝居ライブ「ヒトリワタリ」を3年半毎月開催。vol.41を経て全国展開中。 自身が主催する即興ワークショップ「ワタリーショップ」を都内で定期開催。他、日本中の大学や企業でも即興ワークショップを通して「今の自分に気づき、見て、大事にする」「他者と失敗を笑い飛ばしながら、喜びの中で関わる」即興体験を提供している。