極限状態の人間模様を描き続ける男のこだわり。哲学。ナカガワ・マサヒロ(A.S)とは?

こんにちは。

即興遊戯者・ワタリです。(@watari_bouya)

今日はワタリがよく出演する舞台の作・演ナカガワ・マサヒロ(A.S)という男を紹介しようと思います。

ちなみにナカガワさんはこんな見た目をしています。

また彼の書く作品ですが、とにかく極限状態にある人間の話を書きます。

船が難破し、水平線しか見えない海のど真ん中で漂流する男女。

地雷を踏んで動けなくなった旦那と、助けに走りいなくなる妻。

戦争により殺戮兵器と化していく善良な市民。

とにかく極限。

彼がクリスチャンということもあるせいか、作品の中には「どう生きるか?」「許しとは?」などがテーマになることも多いです。

壮大な世界観。自分の身を投げ出さなければ成立しない過酷な役どころを演じることは、ワタリにとってとても良い経験となっています。

こだわりというより、それはもう「掟」

そんなナカガワさんの何を紹介したいかというと、そのこだわり。

「こだわり」という言い方をしていますが、それはもう「掟」。もしくは「哲学」と言ったほうが的確かもしれません。

その「こだわり」、つまりナカガワマサヒロが良く現れているな~と感じたエピソードをいくつか紹介します。

嘘は出来得る限りつかない。

ナカガワさんはできるだけ嘘はつきません。

本人曰く「人は、話を盛ったり、適当に返事をしたり、無意識に嘘をついてます。だからせめて、ここぞ、というところでは『嘘はつけない』と踏ん張るのです。」

親戚が警察に捕まり、発言によっては不利になる可能性があり、そこは少し誤魔化しても良い場面。

ナカガワさんは嘘はつきませんでした。

「お巡りさん。僕はクリスチャンです。だから嘘はつかないようにしています。まず祈らせてください」と警察に正面から言うほど。

だから結果、警察から信頼されるということも起きます。

仕事で「ここはクライアントには言わずこっちで処理したほうが良い」ような案件も「そういうわけにはいかない。だったらここで私をクビにしてください」と言ってしまう。

どんなに自分が不利になろうが、ここぞのときは、できるだけ嘘はつかない。

ここは誤魔化したほうが人間関係うまくいくみたいな案件も、彼には通用しない時があります。

ゆえに人間関係で揉めることもあるようです。

揉めている時を目撃する時もあります(苦笑)

施す。自分がどんな状況だろうが。

街を歩いていて、ふと「いつもと違う道を通りなさい」というお告げのような声を聞いたナカガワさん。

「なんだろう?」なんて思いながら、いつも通らない道を歩いていると、ホームレスの方を発見。

「まいったな。。」

と、ナカガワさんは思いました。なぜなら、施しをすると決めているから。

その時の彼の経済状況は自身の光熱費をやっと払えるくらい。

でもナカガワさんはそのお金をホームレスの方に渡してその場を去りました。

後日、なぜそうするのか?と聞くと

「ま、なんというか、しかたなしにです 。
本来は、家のない人を家に招き入れ、食事を分け与え、もてなすことまでしなければなりません。しかし、そこまでの根性はない。では、せめて、おにぎりやチョコを配り、時には、時には、上着をあげよう…となるわけです。しかたなしにです。 しかし、ホームレスのおじさんたちにしばしば喜んでもらえる。しかも、神様に「私は、あなたのしてくれたことを忘れない」と言われ、渋谷の町中で、泣きそうになったりしたこともありまして、…しかたなしにではありますが、時には大喜びでやっているわけです。人が聞いたら、気が狂ってるよ…というような話かもしれません。 ヒヒヒ。」

ボールペンが地球を救う?

ある日、ワタリが表参道歩いると、道端にボールペンが落ちているのを発見しました。

そのボールペンはワタリが現在愛用しているボールペンと同じもので、安いけどとてつもなく書きやすいペン。

ナカガワさんの声じゃないけど、なんだか気になって、一度通り過ぎたけど、もう一度戻って拾いました。なぜか拾わないといけない感じがしました。

数日後、ナカガワさんの舞台の稽古時。

いつも温和な顔をしているナカガワさんが、その日はびっくりするぐらい舌打ちが多い。とてもイライラしている。

皆さんは「舌打ち」についてどんな印象を持たれていますか?

日常の音として取り立てて気にしない人もいると思うのですが、

「舌打ちはしないこと。人が離れていってしまうよ」

なんて母に言われた記憶もないのですが、ワタリは舌打ちを聞くと少し心がザワッとします。

人間的本能なのか「舌打ちはストレスの音」という教育を受けたのか分かりませんが、あまりいい気持ちにならないのです。

そのワタリのすぐ隣で尋常じゃない数の舌打ちを繰り出しているのがナカガワさん。

しかもその舌打ちの音は大きく、今皆さんが想像している1.8倍くらいの音量を想像してもらうと良いかもしれません。

そんなナカガワさんの舌打ちがより強くなったのは、稽古始める直前。

「チッ、いけね、筆記用具を忘れてしまった。チッ書くものないな。。あーチッしまった。チッ」

一行のセリフに4回舌打ちを入れるのは相当な技。そして稽古に支障をきたすレベルのストレス。それは困る。

ワタリは、前に拾ったボールペンを思い出し、そのエピソードを話して、「これはナカガワさんに渡すために拾ったんですね」なんて言いながら、ボールペンを渡しました。

「ありがとう。じゃあ、使わせてもらうね」

と、ボールペンを使い出すナカガワさん。

舌打ちも収まり、良い時間が流れ始めホッとするワタリ。

しかし、このボールペンが原因でちょっとした事件が起きることをその時のワタリは想像すらしていない。

人のものを盗まない

ボールペンを渡した数日後。

稽古事。

ナカガワさん「あーワタリくんワタリくん」

ワタリ「はい?」

ナカガワさんがカバンの中に手を入れて取り出したのは、

新品のボールペン。

しかもこないだ拾ったボールペンと全く同じもの。

それをワタリに渡すナカガワさん。

そして、笑顔で話始めるのです。

ナカガワ「あの時、貰ってしまったんだけど、本来、僕は人のものを盗ってはいけなくてね。だから新品を買ってね」

ワタリ「。。え?。。いや、良いのに~ナカガワさん。これ、え?いただいて良いんですか?」

ナカガワ「いや、それなんだけどね」

ワタリ「はい」

ナカガワ「落ちてたところに戻してきてくれないかな?」

「。。。。。え?」

ナカガワ「もとにあったところに返さないといけないのだよ」

・・え?

「新手のスタンド使い?」「新撰組の人?」って感じるほどの本気の目をしているナカガワさん。

そのすごい気迫に思わず写真を撮った。

本気だ。ナカガワさんは本気で言っている。スゴい。そして面白い。

選択肢はございません。

「分かりました」と返事をし、ボールペンを預かりました。

しかし、その後表参道に行く機会がなかなかなかなかったワタリ。

「まぁ、いつか表参道いって、覚えてたらやるか」

くらいの気持ちになっていました。

そして稽古事。

いつものように談笑した後、稽古を開始しようとする直前。

ナカガワさん「あーそうだそうだ。ワタリくん」

ワタリ「はい?」

さっきまで温和だった顔が急に新撰組。急にスタンド使い。

ナカガワ「戻してくれたかな?ボールペン」

凍りつく空気。

ちょっとでも誠意のない態度をすれば、

一瞬の間の後、居合い斬り。

もしくはポケットからチェリーを取り出して、レロレロしながら

「なんだってぇえええレロレロレロまだぁあああ戻してレロレロないレロだってぇえええレロレロレロ!!」

と、完全にスタンド出す直前モードに突入しそうな予感(ジョジョ知らない人すいません)

恐る恐るも誠意をもって

ワタリ「あ、すいません。まだです。。。」

と、答えるワタリ。

ナカガワ「そうか。。じゃあ、どうするかな。。よし。ワタリくん」

ワタリ「はい」

ナカガワ「場所教えてくれる?」

ワタリ「。。え?」

ナカガワ「僕がそこまで行って、元の落ちてあった場所に戻してくるよ」

ワタリ「。。え?!」

ナカガワ「あーチッ表参道か、、行けるかな、、チッうん。大丈夫、チッ明日の、、」

マジだ。この人はボールペンを元の場所に戻すことに、本気で取り組んでいる。そして、舌打ちが始まった。これはいけない。

ワタリ「あ、大丈夫ですっ。すいません。間違いなく行きます!近々行きます」

ナカガワ「あ、そう?申し訳ないね。うん。そうだね。ワタリくんが戻したほうが良いような気がするね」

ワタリ「はい!すぐに行ってきます!」

そうしてボールペンを拾った表参道に向かった

それは不思議な経験でした。

新品のボールペンを、元に戻す。つまり意図的に落とす。

「あなたが落としたのは、この使用済みのボールペンですか?それともこの新品のボールペンですか?」

よく分からないけど、そんなセリフが頭に浮かびました。

もし、道端に置いて、優しい誰かが拾ってワタリに返してきたら。。

「じゃあ、やはり僕が返しにいきます!」なんてまたナカガワさんに言われてしまう!

なんとか表参道を歩く人々にバレないように。。なんて考えたらより緊張が高まり。

そうとう不審な動きをし始めるワタリ。

いかんいかん。落ち着け。

深呼吸して、意を決して、かつ何事もないような顔を決め込んで、

ボールペンを道に置きました。

そこからほぼ競歩レベルでその場を立ち去りました。

足早に去りながら、何かをやり遂げたような変な高揚感。

これを拾った方がもしいたら、とにかく幸せなことが起こりますようにと祈りながら。

後日、ナカガワさんに報告したら、

「そうか~それはありがとう。いやぁ、良かった」

とっても嬉しそうな顔をしていました。

芸人やアーティスト、表現者に必要な要素

絶対に生きづらい。でも、不器用にもまっすぐに「ナカガワ・マサヒロ(A.S)」という自分を全うしている。

そんな彼の生き方を観た時、ワタリは表現するものにとって大事な「行き切る」「生き切る」「突き抜ける」を感じるんですね。

やり切るからこそ見えてくる世界。発見するから向かえる次のステージ。

やり切らないと、同じようなところをくるくる回る。型にはまり、パターンになり、マンネリになる。

突き抜けるほどに熱を込める。込めざる得ない性質や状況。

ナカガワさんが意識的にやっているのか?もしくは無意識か?あるいは因果なのか?それは分かりません。

どちらにしてもなんにしても、彼が手がける作品は、そんな彼の人生や思想が反映される作品ばかり。

ナカガワ・マサヒロ(A.S)

生き切り、行き切る彼の作品がワタリは好きです。

また彼の作品に出ることも今後あると思います。その時は報告させてください。

ちなみにナカガワ・マサヒロ(A.S)のA.Sはペンネーム、その経緯もまた面白いんですがまたメルマガにでもできたらお話しますね〜。

それではっ。

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ABOUTこの記事をかいた人

即興遊戯者/インプロバイザー・ワタリ

即興エンターテイメント集団「ロクディム」共同主宰。 即興で演じ、歌い、踊る1人芝居ライブ「ヒトリワタリ」を3年半毎月開催。vol.41を経て全国展開中。 自身が主催する即興ワークショップ「ワタリーショップ」を都内で定期開催。他、日本中の大学や企業でも即興ワークショップを通して「今の自分に気づき、見て、大事にする」「他者と失敗を笑い飛ばしながら、喜びの中で関わる」即興体験を提供している。