人生フルーツ/老い方、生き方。食べ物と身体性。そして地球。

「ジョン・レノンとオノ・ヨーコ」的影響力をワタリは「シュウイチとヒデコ」に感じた

ポレポレ東中野で鑑賞。

監督
伏原健之

出演
つばたしゅういち
つばた英子

ナレーション
樹木希林

音楽
村井秀清

あらすじ
雑木林に囲まれた家屋に住むしゅういちさんと英子さんの「時をためる」生活を映し出したドキュメンタリー。

ネタバレ:劇中で語られた言葉など少しだけ紹介しています。

話と関係ないけど劇場のこと言わせて

初めてのポレポレ中野。想像以上に駅近。小さいし、階段を降りていく途中に喫煙コーナーがありタバコの匂いがうっすらするけど、ここのスタッフの方々の映画愛をひしひしと感じられる映画館。

「携帯電話を切ってね」「液晶も明るいからダメだからね」「食べ物の音も気をつけてね」というインフォメーションを想像以上にしてくれる。さっき言った喫煙コーナーも「混雑時は禁煙」と書かれている。

かなり古い映画館であちこちボロっとしてるのだけど、居心地良かった。ここで公開予定の映画の予告が「溺れるナイフ」以外全部観たい作品だった。(菅田将暉氏の美しさを堪能するには最高映画。残念ながらワタリの好みの顔じゃない)

通いたい映画館。

目を疑うほどジブリ

「こういう老い方もあって良いと思えるようなファンタジーをドキュメンタリーで撮りたかった」と監督がインタビューで応えたとおりのファンタジー感。

庭に立てられている看板や食器の可愛さ。

2人の幸せな雰囲気。

猫。

美味しそうな食べ物。

それらが溶け合って流れている雰囲気や時間がスクリーンからにじみ出ている。

監督のインタビューはこちら。

 

自分と、大切な人と、地球と、どうやって生きていくのか?

建築家のしゅういちさんの人の接し方は、1つの答えのようだった。

「もう90ですから。残りの時間を大事にしたいと考えています」

自分にとって大事なものしか選択しない。もしくは自分にとって必要じゃないものを気持ち良く手放す。

何が大事で何が大切か?

関われる人数や大事にできる量を知っているかのようだった。

自分の器の設計図、自分の大きさを知っているようだった。

だから、自分の人生や人の人生に対して誠実で、大事にしていて、人への関わり方がとっても濃くて、穏やかで、愛を感じる。

英子さんの身体性

自分たちで育てた野菜やフルーツ。

そして、信頼できる人から購入する食材。

それだけではないだろうけど、2人とも体がとんでもなくしっかりしている。

間違いなく食べ物の影響があると思った。

「できるだけ外では食べないように」

と娘や孫たちに向けてポロッと言ってるシーンがあるのだけど、自分たちの中に入れるものに当たり前にアンテナがある。

自分が体を動かし、育て、有難く頂く。

体が喜ぶ。

だからなのか2人とも動きがキレイと感じた。

そしてその身体だから、色んなことを受け止められている。

そして素直に反応している。

後半の英子さんに特に感じた。

肚が座っている。体が覚悟できている。

中身が詰まっている。

70種の野菜と50種の果実を育てられるチカラは半端ない。

観終わって

生き方のモデルケースと言われるほどのカリスマ性、間違いなくあるなあと。

高度経済成長期の日本で、1人まったく違う日本のビジョンを描いていた。

人と地球とどうやって生きていくのか?を相当描いていたんじゃないかと思う。

2人でやっていたこの生活を、本当は街で、国でやりたかったんじゃないかと思った。

いま、そんな生き方があるんだってことを改めて気づける、知っていける、選択できる時代になった。

「あんなの無理無理。彼らの環境が特別だからだよ」

なんて反射的に思考停止になるのは勿体無い。

もちろんそのまんまは難しいかもしれない。

ただ、「時をためる」「1つ1つコツコツと育んでいく」「人を大事に大切に関わる」

自分の中のフルーツを、もっと自分で育てられる愛でられるということ。

自分と自分の周りの大切な人と、そこから繋がれていく「生きてるうちには逢えないだろう人達の未来」のことを想って何ができるのか?を考える穏やかさは持っていたいと思った。

自分の住んでる家や、食べ物のこと、人間関係。

とにかく土に触れたい。まずそこから始めるベー。なんて思いました。

劇中、以下の言葉を樹木希林さんのナレーションで(またこのナレーションが相当良い)何度も語られる言葉を紹介します。

風が吹けば、
枯れ葉が落ちる。
枯れ葉が落ちれば、
土が肥える。
土が肥えれば、
果実が実る。
こつこつ、ゆっくり。
人生、フルーツ。

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ABOUTこの記事をかいた人

即興遊戯者/インプロバイザー・ワタリ

即興エンターテイメント集団「ロクディム」共同主宰。 即興で演じ、歌い、踊る1人芝居ライブ「ヒトリワタリ」を3年半毎月開催。vol.41を経て全国展開中。 自身が主催する即興ワークショップ「ワタリーショップ」を都内で定期開催。他、日本中の大学や企業でも即興ワークショップを通して「今の自分に気づき、見て、大事にする」「他者と失敗を笑い飛ばしながら、喜びの中で関わる」即興体験を提供している。