「何があなたを、幸せにするのか?」楽屋で聞いた言葉が胸の奥で響いたお話。

香川3日目。
舞台「Chample」は千秋楽。
満員御礼。キャンセル待ち状態の中、最後の幕が開きました。

5つの短編作品を上演するので、自分が出演しない時は楽屋で静かに待機。

その時のこと。

男性楽屋はいつも4〜5人が出入りしているのだが、たまたま共演者のまこちゃんと二人きりになった。

まこちゃんは、仙石桂子氏との出逢いがきっかけで齢60過ぎにして即興チームにも入り、脚本作品にも参加するモチベーション溢れる人。
いつもニコニコして周りに柔らかい空間を提供してくれるまこちゃん。
芝居の稽古の時も、自分が出ていない時もジッと他の人の芝居をみて「すごいねぇ」と心から感動していたり、どんなに待たされても嫌な顔1つもしない。
(そんなまこちゃんの雰囲気に相反して芝居の役は、イライラして怒る人物が多いのは仙石桂子の素敵な采配)

そんなまこちゃんとふと2人になり、静かな声でやりとりした。

ワタリ「今日で終わりですね」

まこちゃん「あっという間ですねぇ。今回もワタリさんのおかげで楽しい時間過ごしてます」

ワタリ「いやいや、こちらこそ今回もまこちゃんの素敵な雰囲気に今回も癒されました」

まこちゃん「いえいえ、、あのねワタリさん」

ワタリ「はい?」

少し間をおいて、真っ直ぐな目でワタリを見るまこちゃん。

まこちゃん「僕ね、いますごく幸せなんです」

その目を、その言葉を聞いた時に、胸の真ん中あたりの何かがジュワッと解けるような感覚があった。

まこちゃん「皆がね、うんと若いのにすごく対等に関わってくれるでしょう。あれがすごく嬉しいのね。普通だったらこんなに年の差があったら僕が楽屋にきたら皆、隅でこそこそ準備なんかするかもしれない」

ワタリ「確かに。でもそれはまこちゃんがそれを許可してくれてるからだと思います。すごく柔らかくて皆が癒されてる。誰もまこちゃんに対して変に気を使わない。それはスゴいことだなぁって思います」

まこちゃん「皆がねすごいって思うんですよ。そういう受け入れてくれる心がある。それは仙ちゃんの教育の賜物なのかもしれないね、、ワタリさん。僕ね」

まこちゃんは崩した姿勢を少し整えた。そして、また真っ直ぐにワタリを見た。

まこちゃん「僕はね、自分の周りにいる人達が笑顔でいることが1番幸せなんです」

この言葉を聞いた時、ワタリの中に流れた感情は「くるり」のブレーメンを聞いた時もほぼ同じ感覚でした。思いがけず楽屋で感極まる。

まこちゃんは続ける
「だってね、こんなに素敵な仲間がいてね、れいこさん(奥様)も優しくてね、ああ、幸せだなぁーって。今が1番幸せだって思うんです」

頭の中のブレーメンも流れ続ける。

ワタリ「いやぁ、そうやって偉ぶらず自然で笑顔で幸せだなぁーって言えることがすごいです」

まこちゃん「ワタリさん。そりゃあね、僕、60年以上生きてますからね、ははは」

ワタリは思わず頭を下げた。

その直後、ほぼ衝動的に楽屋に置いてあったカメラを手にし、まこちゃんを撮った。

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こんな優しい笑顔の大人で在りたい。

そんな大人と一緒にお仕事できることがどれだけ貴重なことなんだろう。どれだけ有難いことなんだろう。

素敵な時間でした。

その後、まこちゃんは楽屋を出てステージでイライラしてすぐ怒るおじさんを演じてました。それも含めて人生も演劇も面白い。本当に。

即興で芝居をするときも「相手のために関わる」「相手に良い時間を与える」という大きな指針があるが、教科書として学ぶのでなく、その関わり方が自分の人生の幸せや生き方にしっかり結びついているからこそ、滲み出てくるし、体現できること。そしてそれは大変時間がかかることなのだと、だから面白いのだとまこちゃんから教えて貰いました。感謝です。

追伸

胸の奥からブワーッとこみ上げる幸せの感覚。細胞が喜んでいる感覚。それを分かりやすく伝えようとした時、ワタリにとってはくるりの「ブレーメン」でした。
これ、皆にとっては何なのだろう?
何を聴いてる時、何をしている時、誰といるとき?今回みたいに誰かに言われた言葉によって?そういうのを探すのもまた楽しい。色んな人に聞いてみよう。またここまで読んでくれた素敵な人。時間と余力あればコメントでも教えてくれると嬉しいです。

5 件のコメント

  • いつも素敵な感性と表現、素敵な言葉に感動しています。ワタリさんだからこそできる表現が大好きでファンです。

    • 江口さん。
      いつもシェアやコメントありがとうございます。
      また「ワタリさんだからこそできる表現」とにかく出力してやっているので、そのお言葉がとっても嬉しいです。
      これからもよろしくお願いいたします!

  • まこちゃんの気持ち、よくわかります。特にここ「皆がね、うんと若いのにすごく対等に関わってくれるでしょう。あれがすごく嬉しいのね。」これはいつもとても感謝しています。ありがたいありがたい。

    • はなよさん。
      コメントありがとうございます。
      対等に関われるのは、まこちゃんもそうですけど、はなよさんの柔らかさ温かさのおかげです。
      暖かい気持ちになれる人達が近くにいることが本当嬉しいですね。

  • 僕が【胸の奥からブワーッとこみ上げる幸せ】を感じるのは、娘が【父親から離れて自分の感覚で何かを掴み取ってる】と、見て取れる時、です。
    夕焼けに見とれているとき、初雪を見て「もうそんな季節なんだね…」と呟いたとき、先日のライブで、大笑いをしているとき、ワークショップで大人の中に一人きりでも自分の言葉で話せるとき…などなどです!
    「次はロクディムのみんなにいつ会えるかな!?」と、いつも言っています(^^)
    「パパが会わせてあげる!」と答えてます!笑

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    watari_bouya

    即興遊戯者・渡猛(ロクディム) 即興芝居×即興コメディ=即興エンターテイメントチーム「ロクディム」共同主宰。 毎月一度1人即興芝居LIVE「ヒトリワタリ」を開催。 2016年6月までに片手懸垂する企画「懸垂野郎」をyoutubeで配信中。