シンガー・ソングライター原田茶飯事氏に「歌うこと」について聞いてみた

こんにちは。即興遊戯者・渡猛です。

3/29(火)に開催する即興1人芝居「ヒトリワタリ vol.32」にて、1番コンプレックスのある「歌」に挑戦する渡。

ヒトリワタリって何よ?って思われた方はまずこちらの記事をどうぞです。

即興(インプロ)1人芝居ライブ「ヒトリワタリ」とは?

2016.03.01

小学生の時。クラスの前でアカペラで歌い緊張のあまり音を外し歌詞を間違え、皆から笑われたというトラウマを乗り越え、より自由に歌うためには。。。

そこで歌を生業としている人達に「歌うことで大切にしていること」についてインタビューを敢行し、歌うことにたいしてどうやって関わっているのか?その生い立ちなどに触れ、少しでも歌うことの意識を高めようと思い立ったのでありました。

1回目のインタビューは元・宝塚歌劇団女優「愛加あゆ」。

元・宝塚歌劇団雪組トップ娘役 愛加あゆ氏に「歌うこと」について聞いてみた。

2016.03.18

2回目は元・劇団四季女優であり、昔一緒に即興芝居でステージに立った仲間である「中野真那」。

元・劇団四季 女優中野真那氏に「歌うこと」について聞いてみた。

2016.03.23

歌で表現する2人。その生立ちや歌にまつわるエピソードはとても刺激的であり、参考になるものばかり。

そして、今回最後になるインタビューは、公私共に仲良くさせてもらっている魂のシンガーソングライター「原田茶飯事」氏になります!

人物紹介:原田茶飯事

5月2日大阪うまれ、2009年から東京在住。

ソフトロックやMPBの洒落っ気、茶目っ気を感じさせながらも口から半分 魂の出たようなステージングは必見。

ソロとバンドを使い分け
節操無く渡り歩く
全方位型シンガーソングライター。
ロクディムやヒトリワタリに楽曲提供もしてくれている。

《公式web site》http://haradasahanji.com/

「恥ずかしい」から「創ることの快感」へ

ワタリ
小さいころから歌うことは好きだった?
茶飯事
そうでもなかったなー。漫画書いたりするほうが好きで。
ワタリ
そうなんだ!
茶飯事
音楽の授業も好きじゃなくて「今、こんな曲歌いたくない」ってなってた(笑)
ただ自然に家では音楽がかかってて、親が言ってたのは「あんたメロディ覚えんの早いな」って。
そうかな?皆が遅いんちゃうかな?くらいに思ってたけど、だから、向き不向きでいうと向いてたんかも。
ワタリ
いまこんなの歌いたくない!って思うのが、もう音楽にたいしてアンテナがあるっていう気がするけどね。
茶飯事
そうやね。ただ、自分でCD買って、家で歌ってたりすると、親が入ってきたらすごく恥ずかしくて。こんな恥ずかしい思いするんなら歌わんとこって(笑)
小学校中学校はそんな感じやったな。見られるのが嫌。
ワタリ
じゃあ、いつから音楽に目覚めたの?
茶飯事
友達がギターやってて、「ええな〜」って思ってミスチルのコピーとかしてて。
その時も家でこっそり小さい声でやってて(笑)だから全然上手くならずで。
歌はずーっと下手なまま作曲とかしてて、曲ばかり自信を持つようになってった。
高校の時にコンテストがあって、その友達と一緒にテープに曲いれたりしたんやけど、友達の家でも家の人に聞かれるのが嫌でこっそりと・・・
ワタリ
コピーとかは分かるんだけど、自分で曲を作ることって自然とやってたの?
茶飯事
うん。当たり前のようにやってた。とにかく作るのが好きやったから、漫画にしても自分から出たものっていう行為がもう堪らなく気持ち良かった。
ワタリ
なるほど。
茶飯事
それで、人が評価したり「ええな」って言ってくれるその快楽が他に代えがたくて。それはずーっと変わってない。褒められたくてやってる(笑)

コンプレックスをプラスに変える力に

ワタリ
人前で、自分の声で魅了していけるって実感したのっていつから?
茶飯事
今は自分のイメージに近い声になったけど、声に関してはずーっとコンプレックスやったよ。ピッチも悪くて、ボーカルスクールにも通ったりしてたし。
ワタリ
そうなんだ!渡の周りには茶飯事のメロディや歌詞はもちろんやけど、その「声」がものすごい好きって人が多いから意外。
茶飯事
それに昔は「上手さ」っていうのが表現の邪魔になるんちゃうかなって。この曲、歌が上手くなかったら最高やのにとか、あえてチープなのが良いって考えにいってて。
ワタリ
うん
茶飯事
それに自分が持ってる中でのベストを尽くす作業ってのが昔からすごい好きで、「あれがあってこれがない」っていう状況で、この中で1番いいものを作ろうっていうのが楽しくて、「あれもあるこれもある」そこから選ぶよりも、ギターの弦2本で作ってくださいっていうほうがものすごい燃える。だから当時、歌下手くそやって、それを誤魔化すために曲を複雑にしたり、メッセージソングじゃなく意味不明なことを歌ったりすることで世界観作ろうとしたり、下手くそやから下手が活きるような曲みたいなことは意識してたかもしれんね。
ワタリ
今は?
茶飯事
うまいに越したことはないなと(笑)
自分の中の変な基準があって、親戚とか親、年代を超えて、ジャケ買いとかしない人にも聞かせられるか否かってのがあって。声が良ければ曲の良さが分からん人でも「プロやな」「うまいねっ」ってなって、聞いてくれる人がいるかもなと。
ワタリ
なるほどね〜っ。声のクオリティもあげることでより多くの人にも届けられるというね。ただ、茶飯事の中では聞いて欲しいのは声っていうよりはメロディとか歌詞とか?
茶飯事
うん〜歌詞とかメロディとか、かなー。
歌に関しては練習したっていうほど努力してないっていうか、やっぱり言葉やったりするから。LIVEが多いと自然と歌う機会も多くなるし、コツつかめば上手くなるってところがあるかもしれんけど、自分の中では努力してるなって部分は言葉の部分が大きいから。すごく歌を練習してたりするなら、ものすごく繊細なところを聞いてくださいってなったりするけど。
ワタリ
なるほどね。
茶飯事
あと、LIVEっていうのと音源っていうので捉え方だいぶ違うと思うねんけど、LIVEってやっぱり流動的なもんやから。それこそ歌い方も発声とかも、声の大きい小さい、MC、会場の大きさ、空気とかで大きく変わったりするから。むしろ歌ってのに関しては固定されてない表現ってのが自分の中にはあって。
ワタリ
LIVEだとお客さんと一緒につくる世界が1番で、そこにいくために自分の全てを使うから、歌をうまく歌うのがメインじゃなくて、今崩れてる方がベストなら崩すしって感じでね。
茶飯事
それこそ即興の世界と近いと思うわ。

歌うことで大切にしていること

茶飯事
歌うこと限定で?
ワタリ
うん。
茶飯事
ちゃんと呼吸すること。
ワタリ
おお。
茶飯事
ちゃんと息してると本来の落ち着いた歌唱ができるんやけど、息が浅かったり、それってだいたい緊張してたり場の空気に飲まれてる時なんやけど、だから、余裕な状態っていうのをキープするってのが大事やなって思うし、そうするにはやっぱり練習とか場数とかでしか、その余裕は作られへん気がするから、定期的に練習っていうより、人前で歌う、そして音楽のことを考える時間っていうのを作らざる得ない状態にすると結果全部良くなるような。
ワタリ
なるほどね〜。深い呼吸。それを実践でやっていく。うんうん。あと、さっき、コツさえつかめば上手くなるって言ってたけど、そのコツってなにかな?
茶飯事
声の響かせ方と、空気の乗せ方かなと思ってて。声のまわりをコーティングするような、空気みたいな声の出し方というか息の出し方というか。最近トランペットの練習してて、トランペットでも息の出し方で音が全然違うしね。
ワタリ
うんうん。
茶飯事
高い場所にある物が食べたくてどんどん首が伸びてったキリンみたいに、毎日それをしてたら身体が「お前、これいるんや」って進化して、楽にやりたいことができるようになっていくんじゃないかって思うね。僕も全然歌とか意識して「こういう風に歌おう」とかじゃなくて、気がつけば身体が鳴ってたって感じで。
ワタリ
なるほど。進化ね。
茶飯事
意識した筋肉の使い方っていうのは効率も良いし、その方が良いと思うけど、どんな人でも毎日歌ってりゃ勝手に良くなるんじゃないかな。あ、でもやっぱり自分で(自分の声を)聞いて、「もっとこんな感じかな」っていうのは考えるところなのかもだけどね。
ワタリ
茶飯事は自分で作ってるから、毎回その作業をしてるってことだもんね。
茶飯事
そうそう「これは違う。これはカッコいいかっこ悪い」を自分でやってるから、だから自分が努力してないと思ってるだけで、実は努力になってるケースはあるかもね。
年間100〜200のステージを日本各地で行う原田茶飯事。音楽が、歌うことが生きることと直結している、常に意識が音楽にある環境に身を置いているからこそ、歌に関しても「努力」じゃなく、「自然」にやっているという。確かに彼の歌を聞いていると、「努力して作った声」ではない。それは「自然に心から、魂から湧き出る声」。だから上手い下手とか関係なく(いや、上手いのだけど)心に響くんだなぁと改めて思った。

外れまくりの人生を正解に

ワタリ
渡はですね、歌うことの恐怖の1つとして音がハズレるっていうのがあるのだけど、茶飯事の中の恐怖ってある?
茶飯事
音に関して言えば、僕はハズレまくりの人生やったから。
ワタリ
え?本当に?
茶飯事
僕はものすごくハズレるタイプやって、今もちょっと気を抜けばすぐハズレる。
ワタリ
それは恐怖にならない?
茶飯事
僕は変わってて、絶対入らへんやろってゴミ箱にも「おらっ」って投げる(笑)
ケガすんの分かってるけど、飛び込んでしまう瞬間があって、歌に関しても無計画。パーンッて一発目の声とかも無計画に出してしまう。今はちょっと器用さが出てきて誤魔化し方とかね。だから合ってても、それはたまたまやと(笑)
だけど、僕の場合は合えへんかっても、それが正解になるようなのが好きで、あらかじめ答えのある所に玉投げて正解!ってなるんじゃなくて、無理やり正解を新たに作るみたいな。自分で穴開けてこっちを正解にする方が楽しくて。
だからついついLIVEとかでもやったことのないような展開とかわざと作ってみたり、歌ったことのない歌詞で始めてみて、どうなるかな?あ、やっぱり無理でしたってことも多々あったり(笑)プロとしてどうなんやろってなった瞬間もあったけど、それも即興と近い気がするな。
ワタリ
近い。あえて自分が上手くいくかどうか分からないところに飛びこんでいくってのは即興でも大事だから。だから茶飯事のLIVEはいつもエキサイティングなんだね。同じ「モンスーン(茶飯事の楽曲)」は1つもないもんな〜。LIVEバージョンなんや〜って聞いたら「今日初めてやった」って言ってたね(笑)
茶飯事
自分の中でエキサイトするかどうかってのがLIVE全体の完成度を左右する気がして。きっちりと同じことを間違いなくするってのもプロやし。でも僕は、生活とLIVEっていうのが密接にあるから。やっぱり美味しいカツ丼でも、毎日は食べられへん。飽きてしまう。だからちょっと今日はタイ米に変えたりとか、ちょっとずつ変えたりして、自分が飽きないようにすることが音楽との良い付き合い方。
ワタリ
この具材入れたらどうなるか?それをしたら自分がどうなるか?LIVEがどうなるか分からないリスクを自分で創り出す。それが飽きないし、エキサイトする秘訣って感じね。
茶飯事
うん。
ワタリ
1年の大半LIVEしてるわけだから、その工夫は大事だねえ。鮮度失ったら自分が死ぬ時だもんね。
茶飯事
飯の種やからね。さすがに音楽は嫌いになられへんなって思って。音楽との距離の取り方っていうのはたぶん「死ぬまでの趣味であり仕事である」みたいになるのが理想やと思うから。
ワタリ
大恋愛みたいなね。
茶飯事
あー最高やね。
ワタリ
音楽とずっと毎日ドキドキしてるってことだもんね。
茶飯事
うん

感想

話が歌うことだけにとどまらないのは、彼の音楽の全てが生きることと密接に関わっているからだと、インタビューをして実感した。
そして、音楽と大恋愛している彼のLIVEは、いつも刺激的で激しくて優しくて愛おしい。
それは即興のLIVEと限りなく近い感覚。彼とLIVEでコラボした時の「始めてじゃない感」がすごかったのも納得。
実に濃厚な時間でした!ありがとうございました!

そんな原田茶飯事氏のLIVE情報の一部!

2016年4月 4日(月)大阪 北浜 雲州堂

【出演】原田茶飯事/カーテンズ
2016年4月10日(日)東京 高円寺 メウノータ
【出演】原田茶飯事/潮田雄一/尾島隆英
2016年5月10日(火)東京 青山 月見ル君想フ
【出演】原田茶飯事バンド/チーナ
2016年5月28日(土)愛知 名古屋 今池 得三
【出演】原田茶飯事バンド
2016年6月19日(日)福岡 清川 UTERO
【出演】原田茶飯事バンド/nontroppo

その他、各地でも色々決まっています!

詳細は原田茶飯事Websiteで!

そしてオススメ動画がこちら!

 

《あとがき的な》

今回のチャレンジで初めてインタビュー企画を立ち上げましたが、もうこれ自体が刺激的でした。いかに人の話を聞いてないのかも分かったし(笑)ちゃんと聞いた時の濃さも理解でき、それを読み物にするという作業もまぁ濃かった。大変だった(笑)世のインタビュアーの皆様、大尊敬です。

そして、今回快くインタビューに応じてくれた皆さんのことを少しでも知ってもらえて興味を持ってもらえて、この記事を楽しんでもらえたらば幸いです。

さぁさぁ、「ヒトリワタリ vol.32~歌うたいでワタリする~」まで残り2日!臨みます!

詳細は以下です。

【ヒトリワタリ vol.32】

日程:3/29(火)
open/start:1930/2000
料金:2000円(飲食持ち込み自由)
場所:Flat House
住所:東京都港区西麻布3-21-15
最寄り:
[地下鉄]
・日比谷線「六本木駅」1C出口 徒歩5分
・大江戸線「六本木駅」3出口 徒歩8分
・日比谷線「広尾駅」3出口 徒歩10分
・千代田線「乃木坂駅」5出口 徒歩10分
・大江戸線「麻布十番駅」7出口 徒歩15分
・南北線「麻布十番駅」4出口 徒歩15分

[バス]
・都バス 都01系統(渋谷駅前⇔新橋駅前)「西麻布」下車
・都バス 渋88系統(渋谷駅⇔新橋駅北口)「西麻布」下車
※ 渋谷駅からお越しの場合は停留所から徒歩3分
※ 新橋駅からお越しの場合は停留所目の前

※会場は脱靴スタイルです。スリッパをご用意しております。
※全席自由席です。ご来場先着順でお好きな席をご利用いただけます。
※料金は当日精算(現金のみ)です。ご入場時に受付にてお支払いください。

予約は下記のボタンをクリックして、
《LIVE名、お名前、チケット枚数》を明記の上、送信くださいませっ。

【ヒトリワタリとは?】
基本、ひとり。時々ゲスト。

「自分の能力の最果ては?自分を、人を、空間全部を徹底的に信じた先は?」

即興遊戯者・渡 猛(わたりたけし)が即興で演じ、歌い、踊るエンターテイメントLIVEです。

場所は西麻布のオアシス、多目的空間フラットハウス。

その優しい雰囲気の中で、追いつめられ、汗かき、無我夢中に飛び込む企画になると思われます。

ABOUTこの記事をかいた人

即興遊戯者/インプロバイザー・ワタリ

即興エンターテイメント集団「ロクディム」共同主宰。 即興で演じ、歌い、踊る1人芝居ライブ「ヒトリワタリ」を3年半毎月開催。vol.41を経て全国展開中。 自身が主催する即興ワークショップ「ワタリーショップ」を都内で定期開催。他、日本中の大学や企業でも即興ワークショップを通して「今の自分に気づき、見て、大事にする」「他者と失敗を笑い飛ばしながら、喜びの中で関わる」即興体験を提供している。